【2025年度最新版】自治体のDXには財源が必要! 補助金・交付金を紹介

自治体にとってDXは緊急に取り組むべき課題であることはいうまでもないでしょう。しかし、DXには設備導入やアプリケーション・システム導入など大規模な予算が必要になります。「やらなければならないのは分かっているけれど、予算が確保できるか不安」という方は多いのではないでしょうか。そこで今回は、政府が提供している補助金や交付金、その他民間からの資金調達方法を紹介します。
政府は自治体DXを積極的に推進している

補助金や交付金について詳しく紹介する前に、自治体DXに関わる法律を紹介しながら、政府の方針を詳しく説明していきます。しっかり理解しておくことで、補助金申請が採択されやすくなるはずです。
2016年1月施行 :マイナンバー法
マイナンバーによる国民情報の連携、マイナンバーカードの発行、マイナポータルによるオンライン申請などを定めた法律です。マイナンバーで個人を簡単に特定できるようになっただけでなく、各行政機関が情報提供ネットワークシステムを利用して情報を連携することで、書類申請などの手間を大幅に削減できるようになりました。
参考:デジタル庁「マイナンバー制度とは」
2019年12月施行:デジタル手続法
行政手続きのオンライン化の徹底、添付書類の撤廃方針などを定めた法律です。この法律では、さまざまな手続きがデジタルで完結することや、一度提出した情報の再出を不要とすること、民間サービスを含めた複数の手続きをワンストップで実現することなどを基本原則としています。
参考:内閣官房「デジタル手続法案※の概要①」
2021年9月施行:地方公共団体情報システム標準化に関する法律
地方公共団体の基幹業務システムについて、国が策定した基準に適合したシステムを統一的に利用することで、行政機関のシステムの標準化を進めた法律です。システムを標準化することで、行政機関同士の情報連携をスムーズかつ安定して行える体制構築を目指しています。
参考:総務省|自治体情報システムの標準化・共通化
自治体DXに使える補助金・交付金

ここからは、自治体DXに利用できる政府の補助金や交付金を詳しく紹介していきます。
デジタル田園都市国家構想交付金
「デジタル田園都市国家構想」の実現による、地方の社会課題の解決や地域の魅力向上の取り組みを加速化・深化するための交付金です。デジタル技術を活用して地方創生を推進し、地方の活性化や行政・公的サービスの高度化・効率化を実現する取り組みを支援することが目的です。主に「デジタル実装タイプ」「地方創生推進タイプ」「地方創生拠点整備タイプ」の3種類があります。
参考:内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局「デジタル田園都市国家構想交付金について」
対象経費
業務効率化・住民利便性向上を目的としたアプリやクラウドサービスの導入費用、データ連携基盤の構築、マイナンバーカードの高度利用など、デジタル実装に必要な経費が支援されます。観光や農林水産業の振興など、地方創生に資する幅広い取り組みが対象(ソフト事業、ハード事業の両方)。
デジタル実装タイプの場合:デジタルを活用した地域の課題解決や魅力向上に向けた取り組みにかかる経費。具体的には、他の地域ですでに確立されている優良モデル・サービスを横展開する実装事業、オープンデータの連携基盤を活用して複数のサービスを展開するモデルケースとなり得る実装、マイナンバーカードの新規用途を開拓して他の地域における横展開が容易な実装事業など。更に、サテライトオフィス等の施設整備・運営・利用促進等を行う取り組みや、進出企業と地元企業等が連携する取り組みにかかる経費。
地方創生推進タイプの場合:結婚、出産、育児、移住、地域社会を担う人材の育成、観光の振興、農林水産業の振興、汚水処理施設・港の整備事業などにかかる経費。
地方創生拠点整備タイプの場合:上記2つの事業と一体となって整備される地方創生の推進に資する施設を整備する事業にかかる経費。
補助率
原則1/2~3/4
補助上限
タイプに応じて変動。1~5億円。
デジタル基盤改革支援補助金
自治体等がDXの技術を活用して、地域の課題解決に取り組むためのデジタル基盤構築にかかる経費を支援する補助金です。地方公共団体の基幹業務システムをクラウドや標準化システムへ移行し、行政手続きのデジタル化・効率化を支援することを目的としています。2025年度が事業期間として最後とされていますが、延長される可能性もあります。
参考:デジタル基盤改革支援補助金
対象経費
自治体等の基幹業務システムについて、標準的な基準に準拠するシステムへの移行に向けた調査費や、ガバメントクラウド(基幹系20業務について、行政機関共通の仕様に基づいたプラットフォーム)に対応するアプリケーションの構築、データ移行作業、テストや研修にかかる経費、既存システムの契約変更により不可避で発生する費用への移行にかかる経費が対象。
※ガバメントクラウドについては、こちらの記事で開設していますので、ご覧ください。
デジタル・ガバメントってなに?自治体が推進すべき6つの取り組み
補助率
原則10/10
補助上限
人口規模に応じて上限あり。詳細は以下の通り。
・人口 1万人までの自治体: 1,600万円+人口×780.0円/人
・人口 1万人超 10万人までの自治体: 2,380万円+(人口-1万人)×117.0円/人
・人口 10万人超100万人までの自治体:3,440万円+(人口-10万人)×78.0円/人
・人口 100万人超の時一体:10,460万円+(人口-100万人)×39.8円/人
(例) 人口18万人の自治体の場合
3,440万円+(18万人-10万人)×78.0円/人 = 4,070万円
地域社会DX推進パッケージ事業
地域社会のデジタル化を推進し、自治体のDX推進計画の策定や具体的な取り組みを支援する補助事業です。デジタル技術を活用して、人口減少や少子高齢化、産業空洞化といった地域のさまざまな課題解決に向けたデジタル変革を総合的に支援します。
参考:地域社会DX推進パッケージ事業のご案内
対象経費
デジタル技術を活用した地域課題の解決に取り組むための、計画策定に関する専門家による助言などを受けるための経費が対象となります。またローカル5G をはじめとする新しい通信技術(Wi-Fi HaLow、Wi-Fi 6E/7等の無線通信)による、地域課題の解決 に役立つ先進的なソリューションの実装に関わる経費も対象となります。
補助率
計画策定支援系は10/10。実証事業(先進無線システム活用タイプなど)は 1/2。
補助上限
計画策定支援系はとくになし。実証事業(先進無線システム活用タイプなど)には下限が設けられており、原則1千万円。
民間と連携した資金調達

自治体DXに必要な財源を確保する方法は、自前の予算や政府機関からの補助金だけではありません。民間と連携した調達も可能です。ここではその方法をご紹介します。
企業との共同プロジェクトの実施
地域のDXに必要な技術・インフラの実証事業などを、民間企業と共同で実施することで、プロジェクト費用の全額を自治体で手配する必要がなくなり、参画事業者とコスト分散をすることが可能になります。
企業としては自社技術を社会実装しながら実験したり、将来的な事業拡大に向けて実績づくりをしたりできます。民間企業にとってのメリットもあるため、Win-Winの関係構築ができるパートナー企業を見つけられれば、予算の圧縮が可能になるかもしれません。
ふるさと納税・クラウドファンディング
ふるさと納税やクラウドファンディングで集めたお金を、自治体や地域のDXに活用することも選択肢の1つです。自治体の中には、ふるさと納税のお金の使い道を納税者が指定できる場合があります。たとえば納税者が「DX化のため」と指定して集めたお金を、自治体は特定財源としてDXに活用する方法が挙げられます。
特定の地域課題に限定したプロジェクトに限定して、行政機関がふるさと納税等で財源を確保する方法もクラウドファンディングの1つです。
※クラウドファンディングに関しては、こちらの記事で詳しく成功事例などを解説しています。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
現在進行形で拡大中!自治体によるクラウドファンディングの成功事例
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企業からの寄付
企業が自主的に寄付をしてくれて、そのお金をDXに活用することも考えられます。ただし寄付はあくまで企業の自主性によるものなので、コントロールは難しいでしょう。
自治体の中には、官民の共同出資でまちづくり会社を設立し、余剰利益の一部を寄付金という形にしたり、まちづくり会社が余剰金を使って行政では手の届かないDXを実現したりしている事例もあります。自治体がやると予算を確保しきれないものを、地域事業者が寄付の形で一部負担してくれたり、自ら実行したりしてくれることで、歳出削減につながる可能性があります。
まとめ
DXには大規模な予算が必要とされるため、政府は幅広い補助金や交付金のパッケージを用意しています。しかし必ずしも補助金を獲得できるわけではないため、しっかりとした事業計画をまとめて、国に説明することが求められるでしょう。知見がない中で、こうした計画づくりするのは大変な作業です。サイネックスは自治体DXを総合的にサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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