サイネックス・マガジン

つながるアンテナショップ「三重テラス」(後編)

Interview
  三重県雇用経済部 菅生 和範 様/三重県雇用経済部 水谷 愛奈 様
  三重テラス 大田 茜 様/三重テラス 大西 滋之 様

つながるアンテナショップ「三重テラス」

(左から)三重県雇用経済部 水谷 愛奈 様・菅生 和範 様/三重テラス 大西 滋之 様

前編では三重テラスの成り立ちや日本橋との歴史的なつながり、名産品・工芸品を扱うショップをご紹介しました。後編では、三重の魅力を食で発信するレストランや、イベントスペースの活用、コワーキングをベースにしたコミュニティ活動の取組について、引き続き三重テラスの菅生さん、水谷さん、大田さん、大西さんにお話を伺います。

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三重の魅力を食で発信!ショップに隣接するレストラン

ーー三重テラスでは、ショップからそのままレストランにも入ることができます。このレストランの特長についてお聞かせください。

そうですね。三重テラスの大きな特長の1つが、ショップに隣接してレストランがあることです。お買い物を楽しんだあと、そのまま店内に入れるので、気軽に三重の食文化を味わっていただけます。
おすすめのメニューは「てこね寿し」と「伊勢うどん」です。てこね寿しは、もともと漁師さんが船の上で食べていた素朴な料理で、シンプルながら素材の新鮮さを存分に感じられる一品です。伊勢うどんも太くてやわらかい麺と濃厚なたれが特徴で、根強い人気を誇っています。

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伊勢うどん膳

さらに、松阪牛を目当てに来店される方も多く、冬場には店内にあるいけすから提供される伊勢えびのグリルやお刺身も楽しめます。調理法は素材そのものを引き立てるためシンプルに、一手間、二手間を加える程度です。季節ごとにメニューも変わり、夏にはさっぱりとした料理、冬には贅沢な味わいを堪能できるように工夫しています。

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mieterrace POP UP Restaurant Vol.10
三重県生まれの新品種いちご「うた乃」を味わう!(令和7年2月22日)

ランチタイムには、近隣のオフィスで働く方々も多く訪れます。とくに女性のお客様が多く、全体の8割程度でしょうか。三重テラスで味わう料理をきっかけに「今度三重に行ってみたい」と話が弾んだり、「先日行ってきました」と嬉しい声をいただいたりすることもあり、スタッフにとって大きな励みになっています。(大田さん)



観光案内はコンシェルジュにお任せ下さい!

ーーそして三重テラスにはコンシェルジュがいて観光案内を行っていますね?

はい。三重テラスの1Fにはコンシェルジュが常駐しており三重のことならなんでも相談にのってくれます。2階には資料も多く取り揃えており、「三重県のことなら何でもわかる」観光案内所になればいいと思ってます。観光名所の詳細や観光コースの相談を気軽にできるのが魅力ですね。
とくに、伊勢神宮や伊勢志摩エリアへの問い合わせが多いのですが、パンフレットなども充実しており、東京でここまでそろっている場所は他にないと言っても過言ではありません。また英語での案内も可能で、海外からの観光客の方にも利用いただいています。(菅生さん)

ーーどこかおすすめの場所はありますか?

熊野古道へ行くなら、ぜひ立ち寄ってほしいのが尾鷲市です。定置網漁が盛んで新鮮な海鮮が楽しめ、特に春ブリは名物。冬のブリとは違う脂の乗りと、さっぱりした味わいが楽しめます。春ブリは季節になれば三重テラスのレストランでも味わえるので、食から旅への関心が広がるきっかけになるといいですね。
また、尾鷲では人とのふれあいも魅力です。人が温かい街なので、旅の楽しみを広げてくれること間違いなしです。

この他にもショップやレストランで三重の魅力を感じたら、ぜひ観光案内でご相談頂いて、まだ知られていないスポットを発見していただきたいです。(水谷さん)



三重の街をプロモーション!さまざまな自治体や企業が活用するイベントスペース

ーー2階にはイベントスペースもありますが、ここではどのようなイベントが行われているのですか?

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三重テラス12周年記念感謝祭
オープニングトーク「日本橋と三重」~江戸城下町初期の歴史から紐解く~
(令和7年9月20日)

イベントスペースは、三重県を広く知っていただくための大切な場になっています。イベントの約7割は三重県内の自治体が主催するもので、首都圏の方々に向けて「つながる」というコンセプトのもと、多彩なイベントを開催しています。


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2025春の醸す、フェス(令和7年4月4日・5日)

また事業者が主催するものも多く、地元企業が共同で展示会を開いて、自社の魅力の紹介やお客様との接点をつくる場としてここを活用しています。IターンやUターン希望者の採用促進につながるケースもあり、こうした取り組みは、地方創生の観点からも大きな意味をもっています。

他に、イベントとしては試飲や試食を伴うものも多く、訪れる方が三重の食文化を直に体験できる点にご好評をいただいています。さらに、各市町の特産品のPRやふるさと納税の紹介なども行われ、三重の地域資源の魅力についても具体的に発信するようにしています。
面白いところでは、東京都中央区が区民カレッジの一環として伊勢神宮や熊野古道を紹介するイベントも開催されています。



現在力を入れているのが部活動

また、上記のような自治体や企業の催しに加えて、「部活動」と呼んでいるユニークな取り組みにも力を入れています。現在は日本酒部や健康ごはん部、伝統工芸部など、全部で14の部活動があり、興味のあるテーマに人々が定期的に集まるコミュニティとなっています。

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日本酒部活動時の様子

たとえば日本酒部では、三重県の酒蔵から杜氏さんを招き、酒造りに込めた思いやこだわりを直接聞けるほか、ここでしか味わえない銘酒も楽しめます。こうした活動で大切にしているのは、来場者が「どんな体験をし、どんな気持ちで帰るのか」という点です。
イベントを一度きりで終わらせるのではなく、継続的に三重の魅力に触れられる機会を提供することで、自然と三重ファンが増えていくことを目指しています。部活動は、新しい情報発信手段としてこのスペースをさらに活性化させていくと期待しています。

三重県の移住者数は昨年800名を超えるなど着実に増え続けています。名古屋に近い立地や、自動車産業を中心とした安定した雇用、そして海や山に恵まれた自然環境などがその背景にあるのではないかと考えていますが、私たちの取組が一人でも多くの方が三重県を訪れることにつながればいいなと思っています。(大西さん)



2023年に始まったコワーキング機能。現在会員が増加中!

ーー2023年からは、コワーキング機能が三重テラスに加わったとお聞きしました。

はい。三重テラスでは、2023年から2階のコミュニティスペースにコワーキング機能を導入しました。三重が好き、三重に興味があるという方なら誰でも参加(登録)できる仕組みで、現在2,000名以上の方に登録していただいています。

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三重テラス2階:コミュニティスペース

落ち着いた静かな環境で仕事をしたいという方が多く利用していますが、単なる作業場所としてだけでなく「三重を知る入口」としてつながりが広がることを期待しています。ビジネスマッチングのような取り組みはこれからですが、会員数が3,000人を超えると相乗効果が生まれやすいともいわれています。

今は、三重に関心をもつ人が集まり、好きなことを共有しながらつながる場を育てることを大切にして、関係人口を増やしていくことに注力したいと考えています。(大西さん)



まとめ

三重の名産品や工芸品、食、部活動と、全方向で三重県の魅力を発信し続ける「三重テラス」。伊勢神宮や熊野古道の名前は知っていても、実際にはまだ足を運んだことがない方も多いのではないでしょうか。

三重テラスには、今まであまり知られていなかった三重の魅力もたくさん集まっています。
東京から一番遠い県ともいわれた三重県。まずは三重テラスで、その魅力と楽しさに触れてみてはいかがでしょうか?

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