サイネックス・マガジン

【最新情報】令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

目次
  1. インバウンド補助金とは
  2. 地域における受入環境整備促進事業
  3. 持続可能な観光推進モデル事業
  4. ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化
  5. まとめ
令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

いよいよ観光庁の2025年度予算が決まり、補助金パッケージについて公開されました。すでに募集が開始されているものもあれば、されていないものもありますが、観光庁が公表した予算を見れば、2025年度に実施される補助金パッケージを読み解くことができます。
 
注目すべきはインバウンド補助金です。多くのインバウンドが予想される大阪・関西万博の開催を意識したものも多く用意されています。需要促進を目的とするものだけでなく、さまざまな用途の補助金があり、民間企業が受けられるものやDMO(観光地域づくり法人)が受けられるものなど、補助対象事業者にも幅があります。本記事では、自治体が利用できる補助金パッケージについて詳しくご紹介します。



インバウンド補助金とは

令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

インバウンド補助金は、訪日外国人の消費(インバウンド)対策を目的とした補助金の総称です。想定される用途ごとにさまざまな補助金メニューがあり、政府としてもインバウンド対策を強化しているため、手厚い支援が提供されています。たとえば、観光客増加や一人あたりの消費拡大を目指すもの、訪日外国人の安全を確保するためのもの、オーバーツーリズム問題など、地域コミュニティとの調和を目指すものなどがあります。



地域における受入環境整備促進事業

令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

出典:観光庁関係予算決定概要

「地域における受入環境整備促進事業」の概要は次の通りです。

  • 対象事業:持続可能な観光の推進に向けた受入環境整備を促進する事業、交通サービスの受入環境整備を支援する事業
  • 補助率:1/2~1/3等
  • 上限額:現時点では未公表またはなし

キーワードは「オーバーツーリズムの未然防止」

本事業のキーワードはオーバーツーリズム対策です。“訪日観光客の受け入れを制限する”といった閉鎖的なものではなく、地域コミュニティとの摩擦をなくしつつ、訪日観光客にも快適に過ごしてもらえるような事業を補助するものです。
 
補助対象となる主な事業として5つ紹介されており、遊歩道やバイオトイレを整備する「地域資源の保全・活用」、入域料等徴収のためのシステム整備を行う「需要の適切な管理」、観光エリアの混雑状況の可視化を行う「需要の分散・平準化」、マナー啓発を促進するコンテンツの制作、看板・デジタルサイネージ等の整備を行う「マナー啓発」、交通サービスにおける多言語対応やキャッシュレス決済を支援する「交通サービスの受入環境整備」などが挙げられています。



前年度比で予算規模は半分に

インバウンド対策系の補助事業の中では、予算額が6.2億円と比較的大きいパッケージです。しかし昨年度比では同事業の予算額が約0.45倍となっており、減少傾向となりました。来年度以降も減少していく可能性を考えると、今年度チャレンジしてみると良いかもしれません。



持続可能な観光推進モデル事業

令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

出典:観光庁関係予算決定概要

「持続可能な観光推進モデル事業」の概要は次の通りです。

  • 対象事業:持続可能な観光計画等の策定支援、モデルケースの造成
  • 補助率:補助率1/2
  • 上限額:500万円

キーワードは「持続可能な観光」

この補助事業では「地域が観光地としての自らの価値を磨きながら成長を続け、次世代に受け継がれていく」ことの重要性を強く訴えています。そのために環境、文化、社会・経済面の持続可能性を高めることや、持続可能な観光に関する需要の高まりを捉えて、選ばれ続ける観光地となることを目指すとしています。



「日本版持続可能な観光ガイドライン」への対応を求めている

「日本版持続可能な観光ガイドライン」とは、2020年に観光庁が幅広い調査結果に基づき公開した持続可能な観光地マネジメントを行うための観光指標です。「持続可能なマネジメント」「社会経済のサステナビリティ」「文化的サステナビリティ」「環境のサステナビリティ」の4カテゴリーで構成されています。
 
「持続可能な観光推進モデル事業」の補助金は、地方自治体などが「日本版持続可能な観光ガイドライン」に対応した観光計画等の策定・改定を支援するものとなっています。また自治体が観光関係者と連携して地域の持続可能性の向上に資するモデル実証を行う費用に対しても補助をしてくれます。



ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化

令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ

出典:観光庁関係予算決定概要

「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」の概要は次の通りです。

  • 対象事業:持続可能な観光計画等の策定支援、モデルケースの造成
  • 補助率:補助率1/2~2/3
  • 上限額:現時点では未公表またはなし

キーワードは「さらなる経済効果の拡大」

「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」は、訪日観光客を地域により多く誘引し、さらに消費単価を高めるためのインフラ整備や観光コンテンツの高品質化を支援する目的の補助金です。
 
支援パッケージは幅広いですが、自治体が補助対象で使いやすいメニューは主に3つです。
 
1つめは、インバウンド受入環境高度化事業です。面的エリア内の総合的インフラ整備を支援するもので、公衆無線Wi-Fi、多言語対応、多様な移動手段の導入等、さらにはワーケーション環境の整備なども対象となります
 
2つめは、二次交通の高度化です。旅館送迎車両の活用を活用した複数施設による共同送迎輸送などが盛り込まれています。
 
3つめは、インバウンド安全・安心対策推進です。具体例として、訪日観光客でも利用しやすい避難所整備やその案内、受入医療機関の機能強化などが挙げられています。



個々の観光スポットや周遊による高付加価値化を目指す

「ICT等を活用した観光地のインバウンド受入環境整備の高度化」は18.6億円の予算規模があり、観光庁予算の中でも大きな比重があります。この背景には、日本政府として訪日観光客一人あたりの消費額を多くしていきたいという意図が込められていると考えられます。補助メニューの多くは、観光客が安心して快適に観光を楽しみつつ、既存のインフラをうまく活用しながら地域の周遊を促進しようとするものが多くなっています。



まとめ

地域経済を活性化させる起爆剤として期待されているインバウンド。高まる需要を捉えて、地域で受け入れられる安定した地域産業として成長させていけるかどうか、いま多くの自治体が岐路に立っているといえるかもしれません。そうであるならば、今回ご紹介したインバウンド対策の補助金を活用して、戦略的な地域づくりをしていくことも、自治体に求められる役割といえるでしょう。

サイネックスでは、「情報メディア事業」や「DXサポート事業」を通して地域の魅力を国内外の幅広い人達に届けるお手伝いをしています。「インバウンド客に向けて地域のイベント情報やプロモーション動画、マナー啓発などを情報発信したい」という自治体担当者の方には、デジタルサイネージ「わが街NAVI」などによるご支援が可能です。

また「地域内周遊や既存の交通インフラを使った効率化・満足度向上を図りたい」という方には、サイネックスグループが運営しているニセコのシャトルバス事業「ニセコダイレクトシャトルバス」の事例などをご紹介できます。ぜひお気軽にお声かけください。

わが街NAVI

ニセコダイレクトシャトルバス

  1. Top
  2. サイネックス・マガジン
  3. 【最新情報】令和7年度予算から読み解く!自治体が使える2025年度のインバウンド補助金パッケージ