サイネックス・マガジン

デジタル・ガバメントってなに? 自治体が推進すべき6つの取り組み

目次
  1. デジタル・ガバメントとは?
  2. デジタル・ガバメントのポイント
  3. 自治体は何をすればいいの?
  4. デジタル・ガバメントで自治体の業務効率化を

みなさんは「デジタル・ガバメント」や「ガバメントクラウド」という用語をご存じでしょうか。
「聞いたことがある」という方もいれば「聞いたことはあるが、具体的には知らない」「自治体として何をしたらいいかわからない」「デジタル庁が発表している資料は専門的過ぎて、読むのをあきらめた」「難しそうな気がして手が出せていない」という方もいるかもしれません。
本記事では、デジタル・ガバメントやガバメントクラウドの詳しい中身と、自治体がやるべきことを解説します。



デジタル・ガバメントとは?

デジタル・ガバメントってなに? 自治体が推進すべき6つの取り組み

デジタル・ガバメントとは、デジタル・データとテクノロジーを活用して最適化された行政サービスによって運営されている状態のことです。デジタル・ガバメントを達成することで、住民の利便性向上や、行政と住民との間のコミュニケーションの円滑化、行政コストの削減など、さまざまな効果が見込めます。
 
地域が抱える課題を解決するためには、行政のデジタル化が必要不可欠です。デジタル化を進めれば、住民との対話をスムーズにし、さまざまな手続きを効率化できます。またオンライン受付や共通システムの導入を進めることで行政の事務負担を軽減し、職員は新しい施策に集中しやすくなります。こうした変革を重ねることで、住民満足度が高い、効率的で持続可能な行政運営も実現可能になるのです。


ガバメントクラウド(Gov-Cloud)とは?

自治体のデジタル・ガバメントにおいてよく取り上げられるトピックが「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」です。ガバメントクラウドとは、統一されたクラウド上に業務システムを集約、共通化・標準化した上で、監視運用できるようにした政府共通のサービス利用環境のことです。

住民基本台帳、印鑑登録、住民税、国民年金、介護保険など20種類の基幹業務が2025年度末までにガバメントクラウドに移行する予定で、全国の自治体に努力義務が課されています。ガバメントクラウドは全行政機関の共通アプリケーションかというと、そうではありません。あくまで利用環境であり、政府指定のクラウドによる利用環境の中に、さまざまな事業者が開発したアプリケーションがあり、自治体はそれらの中から自分たちに適したものを選んで利用します。

利用環境を共通化することで、自治体はこれまで独自に契約していたサーバーやアプリケーション、セキュリティサービス、維持管理サービスを、全国の行政機関と共同利用することになるため、コストの圧縮が図れます。



デジタル・ガバメントのポイント

デジタル・ガバメントってなに? 自治体が推進すべき6つの取り組み

デジタル・ガバメントを実現する上で、デジタル庁はいくつかのポイントを示しています。


クラウドシステムの活用

これまで政府機関や地方自治体、準公共団体は独自のサーバーにデータを保管したり、独自に開発されたシステムを利用したりするケースが少なくありませんでした。しかし個別に開発されたシステム、独自に保管されたデータは外部連携が難しく、システムの更新や維持管理にも大変なコストがかかりがちです。
 
クラウドは必要なときに必要なリソースを活用でき、システムの拡張や保守が容易です。自治体間で共通化できる仕組みを整えれば、同じサービスを効率良く使い回すことが可能になります。安全性を確保しながらデータの一元管理を行えば、住民対応のスピードアップにもつながるでしょう。予算や人手に限りがある中で、より柔軟な運用を目指す手段として期待度が高まっています。


個別開発を避ける

独自のシステム開発に頼らず、既存のSaaSを使うことで開発と運用のコストを抑えられます。業務のプロセスをシステムに合わせ、必要に応じて設定を見直せる柔軟さを備えたシステム・サービスを利用します。
 
また、認証や決済などの共通機能を部品化する取り組みが進んでおり、政府が運営する共通クラウドである「ガバメントクラウド」を活用すれば運用効率も高まるでしょう。さらに、ガバメントクラウドの範囲外のサービスにおいても、既存の民間サービスを活用することで、行政サービスの質を上げながら予算を抑え、効果を「見える化」して検証することも容易になります。


基幹業務システムの統一・標準化

給与や住民基本台帳などの基幹業務を「ガバメントクラウド」で共通化すれば、導入や保守の手間を減らし、サービスの品質向上を実現することが可能です。同じフォーマットでデータを管理できるため、異なる部署や自治体間におけるデータ連携が容易になるメリットもあります。
 
こうした標準化によってエラーや重複も減るため、人為的ミスのリスクも下げられます。これまで個別に維持管理をしてきたシステムにかかってきた手間や費用を削減できる点も大きなメリットです。


情報連携の標準化

政府や自治体、各部署が保有する情報を共通フォーマットで記録し、必要に応じて交換できれば、手間や二重入力を大幅に削減できます。とくに災害時などの非常時には円滑な連携が期待され、住民支援を迅速に進める助けにもなるでしょう。
 
同じルールでデータを扱うことで、相互利用がしやすくなり、住民にもわかりやすいサービスが提供可能になります。これまでは窓口が変われば同じ情報を何度も用紙に記入することもありましたが、情報連携が進めば、こうした手間もなくなり、住民にとっての利便性が向上します。



自治体は何をすればいいの?

デジタル・ガバメントってなに? 自治体が推進すべき6つの取り組み

ここまでデジタル・ガバメントや、その中核を担うガバメントクラウドに関する説明を読んで、「ほとんど政府の方で決めてくれるのでは」「自治体でやることはないのでは」と感じた方もいるかもしれません。政府は方針策定や要件定義、プラットフォームであるガバメントクラウドのシステム構築などは行いますが、住民向けの個別の行政サービスなどは自治体の裁量で実施するものもあり、自治体側でもやるべきことが多分にあります。


取り組み1:国が整備したクラウド利用に努める

国が策定した標準仕様に合わせて、20の基幹業務システムをガバメントクラウドで運用し、導入時の手間を減らしつつ全国規模で共通化することが求められています。政府は2025年度末までに、すべての自治体が住民基本台帳、国民年金、介護保険といった基幹的な20の業務のシステム移行を求めていて、補助などを行っています。


取り組み2:行政手続きのオンライン化

住民票の写しや戸籍謄本などの請求、税金の申告や納付手続き、保育所や福祉サービスの利用申請などをオンライン化すれば、窓口での待ち時間と事務負担を軽減できます。高齢者支援や子育て支援に関連する申請などもシステム上で簡単に処理できるようにすれば、利用者の利便性を高められるでしょう。
 
先ほどご紹介したガバメントクラウドの対象外となっている行政手続きは自治体が主導してオンライン化することが多く、自治体それぞれの状況に応じてオンライン化の是非を検討する必要があります。


取り組み3:民間サービスの活用

行政が自らシステム開発するよりも、民間サービスの方が高い費用対効果を得られる可能性があります。たとえば決済サービスです。住民が使い慣れた決済アプリや予約システムを取り入れれば、支払い手続きや申請の手間を減らせます。他にも双方向のコミュニケーションができるチャットボットやSNS活用も、有益な情報を迅速に届ける手段として有効です。GISなどの外部の地図サービスを組み合わせれば、災害時の避難経路や施設案内などもわかりやすく提示できます。


取り組み4:AIやRPAの活用

大量に届く申請書や問い合わせの内容をソフトウェアで自動分類し、必要項目を迅速に抽出する仕組みを整えると、単純作業にかかる時間を削減できます。他にもAIを活用した文章解析や音声認識を採用すれば、住民からの要望を分析し、施策立案に活用可能です。徴収や通知作業などにもRPAを導入すれば、人員をより戦略的な業務に振り分けやすくなります。


取り組み5:デジタル人材の育成

デジタル・ガバメントは、単にシステムを導入すれば実現できるかというと、そうではありません。デジタルに強い人材がいて、必要な機能と不必要な機能を判断しなければいけません。デジタル施策を総合的に検討する人材や、それを実装する専門人材がいて初めて、デジタル・ガバメントは実現できるようになるのです。
 
ICTが苦手な職員がスムーズに新技術を導入できるよう、研修プログラムやハンズオンでの実習を定期的に実施しましょう。必要に応じてIT専門家を募集し、既存の職員と協力して地元の課題に合ったシステムを考えられる体制を整えることも必要になります。


取り組み6:セキュリティ対策

クラウド導入やオンライン手続きの普及に伴い、適切な認証や通信の暗号化などの対策が必須です。外部からの攻撃だけでなく、内部の不正利用を防ぐ仕組みを整える必要があります。定期的なセキュリティ監査や職員研修を実施し、不審なアクセスを早期発見できる体制が望ましいです。個人情報の保護や事業継続計画を明確化し、緊急時にも対処できる備えをしましょう。



デジタル・ガバメントで自治体の業務効率化を

デジタル技術の活用で事務や手続きを合理化すれば、住民対応の質を高めて地域全体を活性化できます。政府方針に合わせた基幹システムの構築は進めつつ、さらに一歩進んで自治体ならではのデジタル・ガバメントを進めましょう。大切なのは、自治体なりにデジタル・ガバメントの姿の解像度を高めていく議論です。それによって、実施するべき取り組みや、民間サービスの選定方法なども決まってくるはずです。
 
サイネックスは「DXサポート事業」を通して、自治体のデジタル・ガバメント実現をご支援しています。たとえば問い合わせ等窓口業務を効率化する「わが街AIチャットボット」などがあります。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
 
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