日常のライフスタイルこそ富山県の魅力!富山の上質な日常を届ける「日本橋とやま館」
Interview
日本橋とやま館 統括館長 田﨑 博勝様
日本橋とやま館 誘客・広報マネージャー 寺田 寛也様
日本橋とやま館外観
東京・日本橋にある「日本橋とやま館」は、2016年6月、北陸新幹線開業という「百年に一度」ともいわれるインフラ整備を契機に誕生した富山県のアンテナショップです。
観光名所や特産品といったわかりやすい魅力だけでなく、富山県の人々が大切にしてきた日常の暮らしや価値観そのものを、首都圏でどう伝えていくか——日本橋とやま館は、開設当初からその問いに向き合ってきました。
本記事では、統括館長の田﨑さん、誘客・広報マネージャーの寺田さんへのインタビューを通して、富山県の魅力発信や地方創生における日本橋とやま館の役割、そして“富山の日常の上質なライフスタイル”を届ける取り組みを伺いました。
北陸新幹線開業が生んだ「首都圏と富山県」をつなぐ拠点
――本日はよろしくお願いします。はじめに、日本橋とやま館を開設された背景や目的、特長について教えていただけますか?
日本橋とやま館を開設した背景には、「首都圏での情報発信のあり方を見直す必要があるのでは?」という課題意識がありました。
2002年に開業した有楽町・交通会館の「いきいき富山館」は、物販を中心とした拠点として長く親しまれてきましたが、富山県のさまざまな魅力を伝えるには物販だけでは限界があると考えていたのです。また当時、首都圏における富山県の認知度は今よりずっと低く、ブランディングや認知度向上が大きな課題となっていました。
そこで、食・観光・物販・体験を通して総合的に魅力発信ができるアンテナショップとして、日本橋とやま館を開設する方針を決めました。
全国的にアンテナショップが注目を集めていた2010年代の流れや、北陸新幹線開業の追い風もあり、2016年6月に現在の形でスタートしました。(田﨑さん)
写真左から誘客・広報マネージャー 寺田 寛也様、統括館長 田﨑 博勝様
「物販」だけではなく「関係性」をつくる場へ
日本橋とやま館では、本格的な和食レストラン・バーカウンター・交流スペース・観光サロンを設置し、年間を通して様々な企画展示やイベントを開催し、ゆっくり滞在していただける場づくりを大切にしています。
実際にこちらに足を運んでいただき、富山県を味わい、知る時間が増えることで、理解や親しみも自然と深まっていくだろうと考えるからです。
単なる物販や観光案内にとどまらず、日常的な接点を積み重ねることで、将来的に富山県を応援してくださる「関係人口」を増やしていくことを私たちは目指しています。(田﨑さん)
富山県の日常と上質なライフスタイルを届ける
――日本橋とやま館のホームページには、コンセプトとして「上質な暮らしを、富山から。」とありました。
はい。
ホームページに掲げているその言葉には、私たちの考え方が凝縮されています。
富山県には、豊富な観光資源がありますが、金沢の金箔や兼六園のように、すぐにその県が想起される状況にはありませんでした。だからこそ、特別な非日常ではなく、365日の富山の日常の暮らしそのものを価値として伝えたいと考えました。
実際、富山県出身者が東京に出て初めて気づくのは、水や食、自然との距離感といった「当たり前の豊かさ」です。
日本橋とやま館では、訪れるたびに新しい発見があるよう工夫しながら、富山の日常の上質なライフスタイルを丁寧に届けていきたいと思っています。(田﨑さん)
日本橋とやま館 統括館長 田﨑 博勝様
――富山県には豊富な海産物や立山黒部アルペンルートなど、すばらしい観光資源がたくさんあります!
はい(笑)、たしかに。
ただその背景には、三方を山に囲まれ7つの河川に分断された地形や、冬の積雪の多さといった厳しい自然環境があります。
そうした条件を乗り越えてきた先人たちの歴史が、富山県民の真面目さや粘り強さを育んできました。
豊かな自然資源に加え、江戸時代から続く「ものづくり」の文化が根づいていることは、富山県の幸福度の高さにつながっていると感じます。
日本橋とやま館では、こうした県民性も含めて富山県の魅力を丁寧に伝えていきたいですね。(寺田さん)
富山県の産業を支えた「薬売り」のDNA
――先人たちといえば、富山県では昔から「富山の薬売り」も有名ですね?
富山の薬売りは、300年以上にわたって受け継がれてきた歴史があり、現在の富山県の産業基盤を形づくった大きな存在です。
「先用後利(せんようこうり)」と呼ばれる置き薬の仕組みは、先に商品を使ってもらい、後で精算するという点で、現代のクレジット商法やサブスクリプションにも通じる考え方だと思います。
また、懸場帳(かけばちょう)と言われる顧客台帳で取引を管理し、それ自体が事業資産として承継・譲渡されていた点も非常に先進的です。
薬の製造を起点に、容器、金融、電力、食といった周辺産業が育ち、富山県の産業集積が進みました。
こうした先人の知恵やDNAが、富山県の魅力を醸成してきたのです。(寺田さん)
ショップフロアは富山県のセレクトショップ
――では、そうした県産品が集まる、日本橋とやま館のショップフロアについて教えてください。
当館のショップフロアでは、商品選定会を経て選ばれた約1,200〜1,300の県産品を取り扱っています。
入荷するとすぐに売り切れてしまうます寿しや、氷見うどん、かまぼこ、昆布製品(黒とろろ・白とろろ)といった定番の人気商品はもちろん、日常使いの食品も安定したご支持をいただいています。
都内では「ここでしか出会えない」商品が多い点がショップフロアの特長ですね。
また海産物に限らず、富山干し柿や銅器・漆器製品など幅広いラインアップをそろえています。
とくに、全国の梵鐘の多くが富山県で生産されている背景から、仏具メーカーが開発したインテリアとして使える「おりん」など様々な商品を取り扱っています。(田﨑さん)
ます寿司
味付昆布
富山県の魚を本気で味わって欲しい!「和食レストラン 富山はま作」
――ショップフロアの隣には、和食レストランもありますね。
はい。
ショップフロアの隣には、富山県の魚の魅力をしっかり味わっていただける和食レストラン「富山はま作」があります。
人気の食材は富山湾を代表する、ホタルイカ、シロエビ、ベニズワイガニ、そしてブリです。
レストランには、季節ごとに富山湾の旬の魚介類が地元から直送されており、ホタルイカは3月からゴールデンウィーク頃、シロエビは4月から11月頃、ベニズワイガニは秋口から春先、ブリは11月から2月頃が旬となっています。
2025年1月の能登半島地震の影響で、シロエビやベニズワイガニが不漁となった時期もありましたが、最近は少しずつ漁獲高が戻ってきました。
料理長は、その時々の海の状態と向き合いながら、富山県ならではの魚のおいしさを、できる限り旬を逃さずにお届けしたいと考えています。(田﨑さん)
氷見うどんと海鮮丼(和食レストラン「富山はま作」)
地元との太いパイプが「富山はま作」の魅力を支えてくれる
和食レストラン「富山はま作」の大きな強みは、地元・富山県との太いパイプにあります。
料理長は富山県射水市出身で、富山湾の“きときと(新鮮)”な魚を直接仕入れ、毎日お店で丁寧にさばいています。料理長の熱量(富山愛)が、はま作の料理の質をしっかり支えているんです。
また、季節や水揚げ状況に応じて新しいメニューを提案したり、食のイベントを通じて富山県の魅力を伝えたりと、常に工夫を重ねています。お酒についても卸との関係は深く、「勝駒」などの希少銘柄を通年でご用意できている点は、お客様からも大変ご好評をいただいています。
日本橋というアクセスの良さに加え、東京では貴重な“富山県の魚を本格的に味わえる店”として、会食や貸切りなど企業利用が多いのも特徴です。(田﨑さん)
富山はま作 料理長
バーでイベントを開催し、交流を生む仕掛けを構築
――バーラウンジは、どのような目的で設置されたのでしょうか?
バーラウンジ「トヤマバー」は、隣の交流スペースと一体的に富山県の魅力をより気軽に、そして多面的に感じていただくための場として位置づけています。富山県の地酒・ソフトドリンクやおつまみを楽しんでいただくだけでなく、年間を通してさまざまなテーマのイベントを開催しています。
イベントでは、富山県の食・観光・文化などについて、地元からゲストをお招きして交流していただくと同時に、参加者同士が自然に会話できるような仕掛けを大切にしています。終了後には必ずアンケートを実施し、いただいた声を次の企画に反映していますが、満足度はおおむね9割と高い評価をいただいています。
また、バーで提供しているお酒やおつまみの多くはショップフロアでも購入できる商品です。
体験と購買をつなげることで、富山県への理解や関心がより深まるよう期待しています。(田﨑さん)
バーラウンジ(カウンター)
観光交流サロンは、富山県を「どう回るか」を支える現場力
――入口を入ってすぐにある「観光交流サロン」についてもお聞かせください。
観光交流サロンでは、富山観光を具体的な行動に落とし込むための情報を提供しています。
ご相談で多いのは、アクセス方法や移動ルートですね。スタッフを2名配置し、富山の伝統工芸品が展示された空間でお客様のニーズを丁寧に伺いながら、最適なルートを提案しています。とくに、新幹線で到着後の公共交通の使い方は悩みが多く、行きたい場所を無理なく巡れる行程に整えて提案するサービスが中心となっています。
インバウンドは台湾・韓国からの来訪が多く、日本人ではシニア層の利用が目立ちます。
英語対応を基本に韓国語対応スタッフも在籍し、JNTO「カテゴリー2」登録施設としての役割も担っています。これは、富山観光に限らず、都内の案内も行うインフォメーション機能のことです。
日本橋にあるアンテナショップとしての現場力発揮というわけです。(寺田さん)
立山黒部アルペンルートと雪の大谷
――おすすめの観光ルートはありますか?
おすすめの観光ルートとして多くご案内しているのが、立山黒部アルペンルートです。
ケーブルカーや電気バス、ロープウェイなど、6つの乗り物を乗り継ぎながら山岳地帯を横断する、日本でも屈指のダイナミックな観光ルートです。なかでも、標高2,350メートル付近に現れる雪の大谷は、高さ13メートルを超える雪の壁が続く圧巻の景色で、毎年4月中旬の開通時期には全国ニュースになるほどです。
また、ルートの途中にある黒部ダムでは、壮大なスケールの観光放水も見どころの1つです。
自然の迫力を五感で体験できるこのルートは、本当におすすめですよ。(寺田さん)
日本橋とやま館 誘客・広報マネージャー 寺田 寛也様
次の10年へ。日本橋とやま館の進化
――最後に、日本橋とやま館の今後についてお聞かせください。
日本橋とやま館は、おかげさまでオープンから9周年を迎え、富山県の認知度向上や魅力の発信に一定の役割を果たしてきたと感じています。一方で、これからは魅力だけでなく、地域が抱える課題もわかりやすく伝え、共感を生む場づくりがより重要になると考えています。
東京という情報や人が集まる場所で生まれたつながりを、富山県へ循環させていく拠点として進化していきたいです。これまでの取り組みを通じて富山ファンが育ってきた今だからこそ、次のチャレンジに踏み出せる段階に来ていると思います。
富山県との関係性を、さらに深化させるアンテナショップを目指します。(田﨑さん)
取材にご協力いただき、ありがとうございました!
まとめ
食や観光といった富山県の魅力を伝えるだけでなく、イベントや交流で関係人口も増やしていこうと日々進化している、日本橋とやま館。銀座線・半蔵門線「三越前」駅からなら徒歩1分、浅草線「日本橋」駅からでも徒歩3分で富山県の魅力を堪能できます。
Information on 日本橋とやま館
■営業時間:
ショップフロア 10:30~19:00
和食レストラン 11:30~14:30 17:00~22:00(日・祝~21:00)
バーラウンジ 11:00~21:00
観光交流サロン 10:30~19:00
■所在地
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F
■アクセス
東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅:B5出口から徒歩1分
銀座線・東西線 日本橋駅:B9出口から徒歩3分
都営地下鉄浅草線 日本橋駅:B9出口から徒歩3分
JR総武本線 新日本橋駅から徒歩8分・東京駅から徒歩8分
■お問い合わせ先
ショップフロア(物販) 03-3516-3020
和食レストラン「富山はま作」 03-3516-3011
バーラウンジ(トヤマバー)03-6262-2723
その他(イベント等) 03-6262-2723
最新情報については公式サイトをご確認ください。
富山県のアンテナショップ 日本橋とやま館



