サイネックス・マガジン

SNSを攻略しよう!  いま、自治体公認のインフルエンサーが増えている理由とは

目次
  1. 自治体公認インフルエンサーとは
  2. 自治体公認インフルエンサーがもたらす効果
  3. インフルエンサーに委託する費用とは
  4. 自治体公認インフルエンサーを起用している事例
  5. SNSへの対応は急務

インフルエンサーを公式に任命したり、コラボしたりする自治体が増えてきています。なぜいま、自治体自らがインフルエンサーを活用して情報発信する流れが生まれているのでしょうか。



自治体公認インフルエンサーとは

自治体公認インフルエンサーとは、その名の通り自治体の情報発信に特化したインフルエンサーのことです。SNSや動画サイトなどで活躍しており、インフルエンサー、アンバサダー、インスタグラマー、ユーチューバー、などさまざまな呼ばれ方をしています。
 
自治体や企業が発信するよりも、インフルエンサーが発信する方が共感されやすく、受け入れられやすいことから、自治体では発信しきれない内容をインフルエンサーに任せて発信してもらう形です。
 
自治体公認インフルエンサーには地域に深い関わりや愛着がある人が多いのも特徴です。観光親善大使のような立ち位置とされることも多く、地域内の人だけでなく、域外の人に対しても大きな影響力をもっている人が多くいます。



自治体公認インフルエンサーがもたらす効果

地域の情報発信にはインフルエンサーしか担えない役割があり、それにより大きな効果が期待されています。インフルエンサーに期待されている効果とは、どのようなものなのでしょうか。



行動に影響を受けて行動する人が多い

ロイヤリティが高いフォロワーを多く抱えるインフルエンサーの場合、発信内容に強く共感する人が多い傾向にあります。たとえば観光地の情報を発信する場合、自治体が発信する内容では「そうなんだ」程度しか感じない人でも、インフルエンサーの発信であれば「自分もそこに行ってみよう」といった行動を起こす人も多く、広告効果が高くなります。



自治体の発信に目を向けない層にアプローチできる

インフルエンサーのほとんどは、InstagramなどのSNS・動画サイトなどで発信をしており、高い求心力があります。近年多くの人がSNSで情報を受け取り交流する時代なため、SNSで対応できることは大きいでしょう。
 
SNSの特徴はファンからそのファンへ拡散し、1つの投稿が、投稿者が抱えるファンの数以上に届く可能性を秘めていることです。普段は自治体の発信を「自分には関係ないだろう」と見ない人にも、自然な形で地域の情報を届けられます。



「公平性」にとらわれる必要が無くなる

自治体は立場上、特定の事業者を恣意的に選んでその商業活動を支援することは困難です。そのため、どうしても公平性を重んじた情報発信になってしまいます。しかしインフルエンサーであれば、個人の感じたことや魅力を発信できるため、自治体の情報発信とすみ分ける形で地域の魅力を効果的に発信することが可能です。もちろん、ある程度の公平性は自治体としても求める必要はありますが、おおむね発信内容はインフルエンサーに任されます。



インフルエンサーに委託する費用とは

気になるのがインフルエンサーへ支払う費用です。委託内容によるものの、一般的にどれくらいの費用がかかるのか解説します。



3種類の費用が発生する

インフルエンサーに支払うお金は主に3種類あります。
 
1つ目は、インフルエンサーへの報酬です。インフルエンサー自身のファンに向けて発信する行為に対して支払われるものです。
 
2つ目は、旅費交通費です。特定の地域にいって取材等をするためにかかる金額を支払います。実費ベースで精算する場合もあれば、定額を事前に決めておく場合もあります。
 
3つ目は、商品購入費です。仮に商品を購入してインフルエンサーに体験してもらったり、観光施設などに行って入園料を支払ってもらったりする必要がある場合、その金額も負担する必要があります。



一般的な報酬単価

報酬額の中で最も大きいのが「インフルエンサーへの報酬」です。気になるのはインフルエンサーへの報酬がどう決まるかでしょう。一般的に報酬額は、発信単価✕フォロワー数で決まります。発信単価はフォロワーの影響力によって差はありますが、1フォロワーあたり1~5円が一般的だといわれています。



自治体公認インフルエンサーを起用している事例

ここからは、実際に自治体がインフルエンサーを起用して、シティプロモーションの一部を任せている事例をご紹介します。



北海道天塩町:自治体初の公認インスタグラマー「ナヲ」さん

北海道天塩町は、初めて「町公認インスタグラマー」を認定した自治体です。
 
最初の自治体公認インフルエンサーは「ナヲ」さん(2025年3月時点のフォロワー数は5.3万人)。主に天塩町の食材を買いたくなるように天塩町で取れた食材を使った料理の投稿をした結果、天塩町の食材を実際に「食べてみたい」「天塩町に行きたくなった」「どこで買えるの」といった声が多く寄せられました。
 
2025年からはYouTubeチャネル「純ちゃん、田舎で暮らす」を運営する友成純さん、X「しろまる最北日記」を運営する高木今日太さんの2名に引き継がれ、新体制でのシティプロモーションが開始されました。



「ナヲ」さんの投稿

出典: Instagram アカウント名「nwoszk」
Instagram URL:https://www.instagram.com/nwoszk/?hl=ja

Instagram QRコード

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

熊本県:熊本県PRキャラクター「くまモン」がパワフルなインフルエンサー

熊本県のPRキャラクターで、インフルエンサーとして影響力があるのが、誰もが知る「くまモン」。国内外で熊本の魅力をPRしており、くまモンを見かけただけで熊本県を連想するほど、認知度が高いです。
 
2025年3月時点のフォロワー数は、Instagramで11.1万人、Xで80.6万人に達しています。キャラクターやアイコンなどがインフルエンサーになる事例として参考になります。



「くまモン」の投稿

©2010熊本県くまモン

出典: X アカウント名「くまモン【公式】」
X URL:https://x.com/55_kumamon?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

X QRコード

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

鹿児島県南九州市:若者に強い動画クリエイター「永江優人」さん

鹿児島県南九州市では、特攻平和会館などの観光資源があるものの、情報発信に課題を抱えていました。
一方で、自治体が飲食店などを個別に紹介することも難しいため、市公認の「みな、みりょく!」アンバサダーを任命しました。
任命したのは、鹿児島の飲食店の情報発信に特化した南九州市出身の永江優人さんで、
Instagramが10.6万人、TikTokで4.4万人のフォロワー数を抱えています(2025年3月時点)。
月3回程度の投稿をして、南九州市の魅力を発信します。



「永江優人」さんの投稿

出典: Instagram アカウント名「_high_cheese」
Instagram URL:https://www.instagram.com/_high_cheese/?hl=ja

Instagram QRコード

※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

SNSへの対応は急務

総務省が公表している「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、年齢が若いほどSNSを見る時間が長くなる傾向です。1日あたりの閲覧時間は、20代は平日で79.4分、休日で108.4分に達しています。50代が平日で27.3分、休日で27.2分である状況と比べると圧倒的に長く、今後はSNSが情報発信・コミュニケーションの媒体として大きな割合を占めていくでしょう。

SNSを軽視していると、大きく後れを取ることになりかねません。「インフルエンサーの起用で得られる効果は見通せないから不安」という声もあります。しかしだからこそ、今の段階から試行錯誤を始め、どのような役割分担、報酬体系、契約形態が適切なのか、自治体としてどのようなバックアップが必要なのかなど、ケーススタディを積み重ねる必要があるのではないでしょうか。

地方創生支援を理念とするサイネックスが運営するサイネックス・マガジンでは、さまざまな施策検討のヒントや自治体の方々の思いや取り組みなどを発信しています。ぜひご覧ください。

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