サイネックス・マガジン

観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

目次
  1. 観光資源とは?
  2. 観光資源は2つの分類に分けられる
  3. 観光資源にはランクがある
  4. 観光資源がない?今あるものを”資源化”する切り口
  5. 観光資源を有効活用した地域事例
  6. 観光資源でさらに観光客を呼び寄せよう
観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

人が旅行するのには理由があります。たとえば美味しいご当地グルメを食べたいといった欲求、その土地にしかないような景色を見たいという思いなどです。人がその地域を訪れたいと思えるような理由を作れば、観光客を呼び寄せられると言っても過言ではないでしょう。
 
しかし観光資源についてピンと来ない方も多いはずです。また「目立った観光資源がなくて困っている」「どうすれば観光資源を作れるのか」という悩みを抱えた自治体の方々も多いでしょう。そこで観光客を呼び寄せるためのアイデアについて紹介します。




観光資源とは?

観光資源とは人々がその地を訪れるための動機になるような資源のことを指します。観光客が感動するものや人々を呼び寄せるのにふさわしいものが、観光資源と呼べるでしょう。
 
政府は観光資源について明確な定義をしているわけではありませんが、観光立国推進基本法で「観光資源の活用による地域の特性を生かした魅力ある観光地の形成を図るため、史跡、名勝、天然記念物等の文化財、歴史的風土、優れた自然の風景地、良好な景観、温泉その他文化、産業等に関する観光資源の保護、育成及び開発に必要な施策を講ずるものとする。」と記述しており、条文に記載されたものが観光資源として位置付けられているといえます。
 
また公益財団法人 日本交通公社は「観光資源とは、人々の観光活動のために利用可能なものであり、観光活動がもたらす感動の源泉となり得るもの、人々を誘引する源泉となり得るもののうち、観光活動の対象として認識されているものである。」と定義しています。
 
引用:観光立国推進基本法
 
引用:公益財団法人日本交通公社




観光資源は2つの分類に分けられる

公益財団法人日本交通公社によると、観光資源は24種類に分類され、それらを「自然資源」と「人文資源」の2つに分けることができます。


自然資源

自然資源とは、自然環境やそこで自生する動植物、地質、地形などを指します。具体的には10種類があり、山岳、高原・湿原・原野、湖沼、河川・峡谷、滝、海岸・岬、岩石・洞窟、動物、植物、流氷などの自然現象が挙げられます。


人文資源

人文資源とは、人間の活動によって生み出された観光資源のことです。具体的には14種類があり、史跡、神社・寺院・教会、城跡・城郭・宮殿、集落・街、郷土景観、庭園・公園、建造物、年中行事(祭り・伝統行事)、動植物園・水族館、博物館・美術館、テーマ公園・テーマ施設、温泉、食、芸能・興行・イベントが挙げられます。




観光資源にはランクがある

観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

日本ではこの観光資源をいくつかのランクによって分類しています。観光庁といった政府機関が定めているものではありませんが、公益財団法人日本交通公社が定める観光資源のランクについて具体的なものを見てみましょう。


特A級資源

日本のイメージの基盤といえるものです。世界に自慢できるようなものであり、日本人が誇らしく感じるようなアイデンティティを強く示すものです。長い歴史のなかで育まれ大切にされてきた資源であり、日本人や多くの外国人観光客が見たいと感じるものともいえるでしょう。自然資源では富士山や黒部峡谷、阿蘇山、日光杉並木など15箇所が登録されています。人文資源では白川郷合掌造り集落や伊勢神宮(皇大神宮・豊受大神宮)、東大寺、祇園祭など40件が登録されています。


A級資源

特A級に準じて日本を代表する観光資源です。特A級と同様に日本らしい風景であることやその地を訪れた際に、一緒に寄りたいスポットとして候補に入ってくる場所が多いです。地域の人々から長く愛され、誇るべきアイデンティティとして生活や文化のなかに息づいてきたものといえるでしょう。自然資源では芦ノ湖や天橋立、鳥取砂丘、八甲田山の樹氷などが登録されています。人文資源では浅草寺や熊本城、道頓堀、軍艦島などが登録されています。


特別地域観光資源

特別地域観光資源とは、その地を訪れた際、もしくはその地に住んでいる方であれば一度は訪れたくなる場所です。登録されている自然資源のなかには比較的歴史が浅いものもあり、「うちの地域で観光資源を育てたい」と考えている方々にとってはベンチマークになるかもしれません。たとえば自然資源では九十九里浜や白糸の滝といった歴史が古いものもありますが、比較的歴史が浅いものだと下田あじさい園、涛沸湖畔の原生花園といったものも登録されています。人文資源では       富良野のラベンダー、秋葉原といった全国的に認知度が高い場所だけでなく、輪島の朝市、鳥取県立とっとり花回廊といった地域ならではの資源も登録されています。




観光資源がない?今あるものを”資源化”する切り口

観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

地域によっては、日本全国や世界に誇れるような観光資源がないと感じることがあるかもしれません。このような場合にどうやって観光資源の種を見つけ、育てていくべきなのでしょうか。そこで観光資源を育て、観光客を呼ぶアイデアについて紹介します。
 
ここでは国内外の観光客を呼ぶアイデアについて詳しくご紹介していきますが、別の記事ではインバウンド需要を取り込む方法についても特集していますので、ご興味がある方はぜひご覧ください。
 
インバウンドで観光促進! 成功の鍵と課題とは


田舎をあえて活用する

海外の観光客においては、旅行滞在日数が長期にわたるのがポイントです。日本より休暇が長く景気が良い国では1カ月などの長期滞在をする観光客もいます。
 
このような観光客は、長きにわたってその土地で暮らすように過ごします。田んぼで農家の人の話を聞きながら食事をしたり、囲炉裏を囲んで焼き魚を食べたりするなど、地域コミュニティに触れ合いながら日本らしい生活を体験したいと考えています。こうしたニーズに応える観光体験を提供することが観光客を呼び寄せ、観光資源として成長していくことになります。
 
田園風景にトンボ、茅葺屋根の風景は日本に住む人でもどこか懐かしく、昔ながらの景色でありながら近頃は見ることがなくなった貴重な風景だと感じるでしょう。時代が流れているからこそ真新しくなったような文化や風景を観光資源として盛り込むのがおすすめです。


アニメなどの聖地をコース化

日本だけでなく、世界においてもアニメのモデルになった地域が注目されています。SNSが普及した今は、アニメにとどまらずゲームでもその風景や文化が注目されていて、世界には日本を訪れてみたい人がたくさんいます。

アニメの舞台となった場所を「聖地」として打ち出し、積極的に発信するのもおすすめです。拡散しやすくするために限定のアニメグッズなど、アニメ聖地らしい工夫を凝らすのがよいでしょう。

たとえば、ある有名なアニメ映画の中には、社会現象にもなった作品があります。作品の舞台になったといわれている 長野県の立石公園、岐阜県の飛騨古川駅などには多くの観光客が訪れます。近年のアニメでは実在する場所を舞台として取り入れる傾向が強いため、多くの地域が取り上げられるチャンスがあるといえるかもしれません。


SNSの運用で口コミを拡散できる仕組みを

お土産屋さんや絶景スポットにハッシュタグを用意して、訪れた人がSNSで拡散してくれる仕組みを作りましょう。写真を撮って拡散してもらえると、SNSで見た人も景色や雰囲気が理解できて、より訪れたくなります。映えた写真を撮ってもらえるように、カメラの設定やポーズなどを具体的に提示するのがおすすめです。
 
また自治体としては、特定地域に根差して魅力を発信する「ローカルインフルエンサー」と連携すると効果的です。行政では発信できない魅力を個人の主観を交えてパワフルに発信してくれます。また、若者など行政の発信が届きにくい層にも発信を届けられるメリット、強い拡散力を借りられるメリットがあります。
 
ローカルインフルエンサーの活用については、こちらの記事で事例をご紹介していますので、興味がある方は見てみてください。
 
SNSを攻略しよう!いま、自治体公認のローカルインフルエンサー増えている理由とは。


観光客に優しい情報整備を

実際にその観光地を訪れても、絶景スポットまでの道のりがわかりにくかったり、案内板が古くて情報として不十分だったりすれば、観光客が遠のいてしまいます。
 
何か困った際に、今はスマホで調べる時代です。この時しっかりとお店の位置情報やサイトなどが整備されていないと、顧客は「実在するのか?」と不安になるでしょう。
 
しかしすべてのお店がWebサイトの整備を早急に進められるわけではありません。そこで、サイネックスの「わが街Mapping」がおすすめです。
「Googleビジネスプロフィール(Google検索、Googleマップに表示されるお店の情報)」の登録をはじめ、管理と運用を代行してくれるサービスになります。 これならすぐにきちんとした情報整備ができるほか、検索エンジンの上位に表示されやすく顧客の取りこぼしを防止できるでしょう。
 
サイネックスの「わが街Mapping」はコチラ
 
また観光地にデジタルサイネージを設置するのも効果的です。わかりやすい道案内や、その他にも足を向けるべきおすすめポイント、期間限定の催し情報などを発信できます。地域の企業から広告料をいただく形で運営すれば、自治体としては低コストで維持管理することが可能です。
 
サイネックスの「わが街NAVI」はコチラ


地域住民の意見も聞く

行政が観光に使えると認識していないスポットや現象が見つけられるかもしれません。実際にあるホテルでは、ホテルの従業員の証言やアイデアをヒントに目玉となる施設を作ったケースもあります。
 
地域住民がおすすめしているようなご当地グルメやスポットを観光ブックとしてまとめるのも良いアイデアでしょう。
 
サイネックスの地域行政情報誌「わが街事典」はコチラ
 
サイネックスのシティプロモーションサイト「わが街ポータル」はコチラ




観光資源を有効活用した地域事例

【宮崎県綾町】オーガニック志向の観光客が集まる「自然と人が共生するまち」

画像出典:綾町 自然生態系農業推進会議

観光資源というと、美しい景色や古き良き街並みの風景を想像するかもしれません。しかし「なかなかそんな観光資源はない」と考える方々が多いのではないでしょうか。ただ、際立った景色・風景がなくても、観光を盛り上げることができます。それを体現しているのが宮崎県綾町です。人口6.5千人で面積の8割が森林に覆われている「よくある田舎町」といわれる地域でした。それでは何を観光資源にしたかというと、「自然と共生する」というコンセプトのもとで行われてきたまちづくりの取り組みです。

綾町では化学肥料や農薬を抑えた自然生態系農業を実践しており、生産者と行政、農協が一体となって取り組んできました。また、昔から守られてきた貴重な生態系を保つ自然林があり、奥山・里山・農業地帯が人の生活と共生する形で残っています。これらの取り組みは町が条例を作り、まち全体で長年続けられてきました。こういった取り組みが評価され、日本では32年ぶり、5か所目のユネスコエコパークに登録されました。今では国内外から毎年多くの観光客が訪れ、自然と人が共生するまちを体験しに来ています。

綾町 自然生態系農業推進会議


【滋賀県守山市】自転車で琵琶湖一周!宿泊にもつなげる「ビワイチ」

観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

滋賀県守山市は、サイクルツーリズムの成功事例として有名な広島県尾道市の成功事例を分析して自分の地域で成功につなげた事例です。琵琶湖周辺のサイクリングツーリズム「ビワイチ(琵琶湖1周の略)」が活性化し、平成27年は5万2000人だった利用者が令和2年には11万人と倍増しました。宿泊客も増加し、周辺ホテルの民間投資も増えたそうです。令和元年にはナショナルサイクルルートに指定されました。
 
ビワイチHP


【岐阜県飛騨市】”何もない”から数千人の外国人観光客が訪れる地域へ「SATOYAMA EXPERIENCE」

観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例

画像出典:SATOYAMA EXPERIENCE

田舎の田んぼ道を自転車で走る飛騨市の「SATOYAMA EXPERIENCE」は、毎年3,000人以上が利用する人気のツアーです。しかし昔は地域住民にとってこの地域は「何もない」ところだったそうです。そこから見事に観光資源化に成功した事例です。参加者の9割は外国人観光客で、日本ならではの田園地域を駆け抜け、地域に関する解説を受けることもでき、トリップアドバイザーからも高評価を得ているそうです。
 
SATOYAMA EXPERIENCE HP




観光資源でさらに観光客を呼び寄せよう

観光資源がないからといって、観光客の呼び寄せを諦めていませんか? まずはその地域でどのようなグルメやスポットがあるのかをヒアリングしてみましょう。そしてどのように売り出していくのかプロモーションを考えるのがおすすめです。
 
あまり費用がかからないところから観光客に便利な設備を整備していくのも必要でしょう。そして重要になってくるのが情報発信です。サイネックスはシティプロモーションサイト「わが街ポータル」を通して地域の魅力を発信するご支援をしています。「これから始めていきたい」という方はぜひお気軽にお声かけください。
 
わが街ポータル

  1. Top
  2. サイネックス・マガジン
  3. 観光資源とは?観光客を呼ぶアイデアと事例