業務引き継ぎで困らないために!グループウェア活用のポイントとは
自治体はさまざまな行政サービスを提供しており、住民の生活にも関わるためトラブルやサービスの中断は大きな影響を及ぼします。自治体において避けられない人事異動の時期を迎えるにあたり、組織内でスムーズかつサービスが途切れることなく提供されるように、業務の引き継ぎを行う準備をしておくことが大事です。
引き継ぎにおいて主に課題とされるのが業務の属人化です。
ここでは属人化を解消してスムーズに引き継ぎを実施するためのITツールの効果や活用ポイントを紹介します。
自治体における業務引き継ぎの課題
自治体の繁忙期と重なる3月や定期異動の時期は、1年のうちとくに負担やプレッシャーが重いと感じる職員の方もいるのではないでしょうか。
ここでは、引き継ぎの際に困ったことや引き継ぎについてのアンケート結果から見える課題を紹介します。
マニュアルや引き継ぎ資料が不十分
自治体の業務は法令や条例に基づく複雑な判断が求められるものが多いとされているため、マニュアルなどが不十分な場合、処理手順がわからなくて困るケースがあります。
また、マニュアルがあっても定型的な手順しか記載されていないと、イレギュラーな事態に対応できずミスやトラブルが発生する可能性があります。
自治体では窓口業務もあり、直前のクレームについて引き継がれておらず来庁者ともめる場合もあります。情報共有が不十分だったことが原因で発生する問題としては、過去の経過を把握しないまま対応し、かえってトラブルを招いてしまうケースもあるでしょう。
まったく未経験の人に教えるケースが多い
自治体の人事異動では、未経験の領域に配属されることは珍しくありません。未経験であっても、異動後は即戦力として担当業務をマネジメントできなくてはなりません。
3月後半に異動の内示があり、4月から未経験の業務を担当するケースもあり、時間がない中で未知の業務を引き継がなければいけないのは大きな課題のひとつです。
引き継ぎを行う担当者自身の専門知識が不十分なときがある
自治体では2~4年ペースで定期的に異動が行われます。そのため、引き継ぎを行う担当者自身が業務をしっかり習得する前に異動となる場合があります。
その結果、ノウハウや知識が不十分なまま引き継がなければならないことになり、庁内にも専門的なナレッジが蓄積されにくい仕組みを生んでしまうかもしれません。
グループウェア・チャットツールを活用するメリット
引き継ぎの際、よく課題の1つにあげられるのが「業務の属人化」です。属人化は知識の共有不足やマニュアル不足の要因となります。日々の業務やノウハウを個人の経験則で行っていたり、口頭説明で終わらせたりすると、周囲が内容詳細を知る機会がなく、引き継ぎに膨大な時間とコストがかかったり引き継ぎもれが発生したりする原因になります。
こうしたリスク回避に役立つのが、グループウェアやチャットなどのITツールです。
ここでは、これらのITツールを活用するメリットについて紹介します。
データ保管・伝達が個人PCやメールから脱却できる
庁内のナレッジを集約して誰でもアクセス可能な環境を整備することで、属人的だったノウハウが庁内全員の資産となり、引き継ぎも円滑に進められます。
たとえば、業務マニュアルや手順、担当案件の経緯を掲示板やナレッジ管理・ファイル共有機能にアップすることで、情報が個人フォルダなど閉じた環境にある「担当者個人の持ち物」から、組織の共有知識として集約できます。
また、自治体専用チャットのLoGoチャットなどのツールは、他部署に確認が必要なナレッジを蓄積して部署間の連携を強化できたり、プロジェクトごとの履歴が残ることで、後任の担当者が過去の経緯を追いやすくなったりといったメリットがあります。
人事異動を前提にした機能がある
定期的な人事異動が決まっている自治体向けに、自治体業務の運用に特化したグループウェアがあります。
人事異動情報の履歴管理や組織管理機能などが用意されており、組織変更に合わせて権限・グループを一括更新できます。
また、事前登録機能によってあらかじめ内示後の新体制を登録しておくことで、異動時期に合わせて自動で権限が切り替わります。
アクセス権を「役職」や「組織」単位で設定できるため、自動的に必要な掲示板・ワークフロー・共有フォルダにアクセスできるようになり、後任者は異動後すぐに業務開始が可能です。
案件ベースでの記録・検索ができる
グループウェアにはワークフローや文書管理機能が備わっています。
これによって、案件ごとの申請や起案の経路や承認者がワークフロー上に定義されているため、後任者は画面を確認するだけで経緯を把握できます。「いつ誰が申請し、承認したか」などコメントも含めて履歴が残るため、そのまま引き継ぎ資料や業務のログとしての役割も果たします。
チャットツールについても、案件別トークルームの作成、ファイル添付、ピン留め、ノート機能などを活用することで、引き継ぎ資料としての役割が高まります。
引き継ぎでグループウェアを活かすための運用ポイント
属人化の解消に役立つグループウェア。
業務の引き継ぎに活用したいときの具体的な運用のポイントも押さえておきましょう。
「個人チャット・個人フォルダに閉じない」ルールづくり
グループウェアの利点の1つは情報の可視化ですが、グループウェアを導入しても、業務連絡が個人チャットや個人フォルダに閉じると、後任者が経緯を追えず「情報のブラックボックス化」が起こり、引き継ぎもれの原因にもなります。
このリスクを避けるには、「業務上のやり取りはワークフローや公開チャンネルで行う」「共有資料はチーム共通フォルダに保存する」といった運用のルール化が不可欠です。
誰でも見える環境にすることで、後任者は前任者が不在でも過去のログから案件の経緯や意思決定の背景を把握できるようになります。
テンプレートとタグで構造化する
情報を蓄積するだけではなく、必要な時に取り出せるように情報を探しやすくしておく必要があります。そのために効果的なのがテンプレートやタグの活用です。
たとえば、案件のタスク管理や報告書、会議議事録、業務マニュアルなどにテンプレートを用意し、情報の形式を統一することで、後任者は「どこに何が書かれているか」を理解しやすくなります。
さらに、年度・課・事業名・外部団体などのタグを付与し、カテゴリで整理しておくことで、部署をまたぐ情報や過去の類似案件を横断的に検索できるようになります。
後から検索・利用しやすい状態に整えておくことで、グループウェアは単なるメモではなく、引き継ぎにおいて重要な役割を果たすツールとなります。
異動シーズンに合わせた「引き継ぎ用ビュー」を準備
異動が重なる時期は通常業務に加えて引き継ぎ業務が発生するため、後任者は何から着手すべきか混乱しがちです。
そこで、グループウェアのダッシュボードを活用し、特定の期間だけ機能する「引き継ぎ用ビュー」を作成しましょう。ガントチャート・タスク一覧・案件リストなどを年度ごとに集約しておくことで、後任者が見るべき案件から未完了タスクや進行中の要件などを探し、優先順位を判断できます。
情報の見せ方を工夫し、必要な情報だけにフォーカスできる環境を庁内ルールとして定めることは、スムーズな引き継ぎのポイントであり、ツールをより効果的に活用できます。
業務引き継ぎにITツールの導入を検討してみましょう
人事異動の時期、業務が属人化していると引き継ぎの実施に大きな支障をきたします。また、属人化は後任者への影響だけでなく、庁内のミスやトラブルにつながる可能性も高くなります。
こうしたリスク回避のためには、グループウェアやチャットツールを活用することが有効な手段の1つです。
導入を機に庁内の業務のルール化や環境を整備することで、組織全体の業務効率化を推進するきっかけにもなるでしょう。



