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2025年問題とは?来たる超高齢社会に備えよう(前編)

目次
  1. 2025年問題とは
  2. 2025年を機に起きること
  3. 官民協働が鍵になる
2025年問題とは?来たる超高齢社会に備えよう(前編)

地域の将来が危ぶまれる今、多くの団塊世代が後期高齢者となり、社会保障や介護サービスの負担が増大する年が2025年です。手を打たないと人口の減少が進み、経済や福祉の不足で地域活動が衰退する恐れがあります。そこで医療・介護だけでなく、中小事業の育成や企業の誘致など経済面、子育てしやすい環境整備などの教育面など、幅広い対策が必要になります。
 
今回は前編として、2025年問題の定義や起きうる問題について解説します。



2025年問題とは

高齢化により、社会全体が避けられない人口減少に差し掛かっているといわれています。超高齢化が進行し、とりわけ2025年には後期高齢者が人口の多くを占めると予想されます。医療や介護など社会保障のニーズが増す一方で、現役世代への負担拡大が深刻化するでしょう。政府は全世代型社会保障制度の推進で必要なサービスを確保する方針を打ち出しています。実際に不妊治療への保険適用強化や育児休業の利用促進など、世代間の協力体制づくりを進める対策が始まっています。
 
社会保障費の増大は企業経済や地域のシステムにも影響を与えかねないため、これからは健康づくりの推進や高齢者の就労促進など、支え手を増やす施策の充実が求められているのです。医療費や福祉費が膨れ上がるだけでなく、少子化や雇用問題とも密接に絡んでくる状況です。深刻な問題だからこそ、一人ひとりが先を見据え、地域に合った対策を練る必要があるのです。


団塊世代が一斉に75歳以上になる

団塊の世代はおよそ800万人いるといわれています。2025年にはその大部分が75歳以上に達し、75歳以上の人口が全体の18%前後 にまで増えると予想されています。結果として、労働人口との比率はさらに小さくなります。現状では1人の75歳以上をおよそ3人弱の生産世代で支えていますが、今後は2人程度まで減る見立てもあります。

この変化は医療システムや介護サービスなど、あらゆるサービスの財源を圧迫することになります。働き手の不足は企業の経済活動にも影響しやすく、地域にとっては活力を欠く事態につながりかねません。


社会保障体制が限界を迎える可能性がある

もともと日本の社会保障制度は、年金や医療保険、介護保険などが重なり合うかたちで整備されています。しかし高齢化が急速に進む今でも、社会保障給付費は毎年のように増加し、膨大な支出が現役世代にのしかかっています。さらなる負担増が、家庭や企業の経済に打撃を与えかねません。単に高齢者が増えるだけでなく、団塊世代の後期高齢者入りによって、一気に社会保障費が跳ね上がる点が大きな課題といえます。



2025年を機に起きること

2025年問題とは?来たる超高齢社会に備えよう(前編)

団塊の世代が後期高齢者に入ることで、高齢者向けサービスの需要が急増し、消費意識の変化が起きると考えられます。企業では新たな事業領域の模索が進み、医療や介護を中心とした産業が拡大する可能性があります。同時に労働人口の不足や地域経済の停滞も懸念され、社会全体で変化に備える必要が生じてきます。


人材・後継者の不足

現下の状況では中小企業の約60%が後継者不足の状況に置かれているといわれており、2025年以降はさらにその割合が増える見通しです。たとえば後継候補が不在の場合、事業継承できずに廃業を選ぶケースが増加するでしょう。この動きが産業の活力低下につながり、雇用機会や地域経済に悪影響を及ぼす懸念があります。


社会保障費の負担増

現時点で社会保障費は国全体で120兆円規模となっているが、2025年以降には140兆円を超えるとも推測されています。医療や介護、年金の給付が増大するため、現役世代の保険料負担や企業の費用負担も大きくなります。結果として家計消費が落ち込みやすく、経済の循環にも影響が出る恐れがあります。


相続に関連したトラブルの増加

高齢者人口の増加に伴い、現時点でも年間約20万件前後あった相続放棄の申述の受理件数が、2025年以降には30万件近くに達する可能性が考えられます。相続放棄となることで、担い手がいない不動産が増えていくのです。
相続の件数も増えていくため、当然ながら相続税の申告漏れや申告間違いに対する調査も増え、行政にとっても納税者にとっても負担は増すでしょう。令和2年度の相続税に関する実地調査件数が約5千件だったのに対して、令和5年度は約8千件の調査が行われたといわれています。
他にも遠方で暮らす子どもたちが実家の財産をめぐって対立するケースや、遺産の評価額の変動などが発生しやすくなるため、法的なサポートや地域の支援策が大切です。適切な相続が行われないことで、空き家や田畑、森林の所有者が不明になり、自治体としての地域開発に支障をきたす可能性があります。


空き家の増加

全国の空き家数は2023年度時点で約900万戸といわれ、総住宅数の13.8%を占めています。2025年以降もさらに拡大すると考えられています。高齢者が施設や子ども世帯の近くに転居することで住まいが放置され、防犯や景観面などの課題が深刻化するかもしれません。地域経済にも影響を与えるため、早期の対策が望まれます。


地域格差の拡大

都市部と地方の人口分布が変わっていきます。エリアによっては2050年の人口が2020年度比で3割も減少すると推定されています。一方で都市部は高齢者の比率が上昇しても絶対数が多いため、医療や介護の体制が集中しやすいです。地域間で医療サービスや雇用機会に差が生まれ、結果的に高齢者や若い世代の生活環境に大きなばらつきが生じます。



官民協働が鍵になる

ここまでは前編として2025年問題の定義やその背景、今後発生する課題について幅広くご紹介しました。次回の後編では具体的な対策についてご紹介します。

■2025年問題とは?来る超高齢社会に備えよう(後編)はこちら

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