2025年問題とは?来たる超高齢社会に備えよう(後編)

地域の将来が危ぶまれる今、多くの団塊世代が後期高齢者となり、社会保障や介護サービスの負担が増大する年が2025年です。手を打たないと人口の減少が進み、経済や福祉の不足で地域活動が衰退する恐れがあります。そこで医療・介護だけでなく、中小事業の育成や企業の誘致等の経済面、子育てしやすい環境整備等の教育面など、幅広い対策が必要になります。
今回は後編として、2025年問題の具体的な対策を解説します。
今から自治体がとるべき対策とは
高齢者が一気に増える局面を放っておくと、日本全体の経済力や地域の活力が失われかねません。そこで、政府や自治体は公費負担の見直しを進め、医療・介護人材を確保する取り組みを強化しています。さらに健康づくりや地域包括ケアシステムの整備など、持続可能な体制を作る準備が重要です。
企業誘致・地元企業の育成
地域経済を支えるために、企業誘致と地元企業の育成を同時に進める取り組みが必要です。大企業だけでなく中小企業が新たなビジネスを展開できるよう、多様な補助金や産業用地の整備だけでなく、地域の特徴を活かした企業誘致を行うと効果的です。
企業同士が連携して新サービスや地域ブランドを開発すれば、人口減少や雇用不足が改善する可能性も広がるでしょう。商工会や金融機関などとの連携強化を活用し、経済の下支えや人材育成を推進したいところです。
企業誘致について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
■企業誘致を成功させるには? 誘致の手法や成功事例を紹介
子育てしやすい環境の整備
働きやすい環境の整備が子育て世帯の定着率の向上につながります。健康保険や企業独自の福利厚生拡充で子育て世代をサポートし、たとえば企業内保育所の設置が選択肢として考えられます。多様な仕組みがあれば、人材を獲得しやすくなり、企業の活力も高まるでしょう。
子育て支援について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
■自治体の子育て支援の取り組み方とは?施策の種類や事例を紹介
■全国自治体が定住促進を強化中! 子育て世代に向けた施策の種類
高齢者が暮らしやすい地域づくり
今後は在宅医療の需要も大きくなるため、医療・介護を強化していくことが欠かせません。医療介護だけでなく、高齢者が生き生きと健康的に生活を楽しめる環境の整備をすることで、社会保障費の低減だけでなく、高齢者ならではの経済を発展させることもできます。
高齢者の支援について詳しく知りたい方は、こちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
■高齢者歓迎!自治体による老後移住支援とは
関係人口の拡大
地域外の人材や企業と連携し、新たな活動を生み出す取り組みが重要になります。観光や交流イベントを通じて一時的に関わるだけでなく、リモートワークなどを活用して定期的に地域に貢献してくれる層を増やせると、人手不足を補完するだけでなく、多様な文化が入り交じって地域の魅力をさらに高めることや、定住人口に依存しすぎない経済発展を期待できます。
関係人口の拡大について成功事例を知りたい方は、こちらで解説していますのでご覧ください。
■近年の自治体が抱える地域課題とは?課題別に解決事例を紹介
円滑な相続の支援
事業承継がスムーズに進むよう、自治体としてしっかり支援していく必要があります。相続に関する情報発信や、相続代行サービスの紹介などの公的支援を提供することで、企業の事業承継や資産の相続も前向きに検討でき、地域経済の安定につながる見込みがあります。相続で揉める前に情報を整え、次世代への責任ある引き継ぎを図ることが望まれます。
空き家対策について成功事例を知りたい方は、こちらで解説していますのでご覧ください。
■空き家対策で街に活気を!対策と空き家の魅力
自治体が今すぐできる終活支援

2025年問題への対策として、住民一人ひとりができる対策がエンディングノートの作成など、終活の取り組みです。早めに情報を整理しておけば、空き家などの財産管理だけでなく、孤独死対策、相続トラブルに関わる行政コストといった、さまざまな負担を軽減できます。周囲も安心できるため、結果的には地域のつながりを強める契機になると考えられます。
エンディングノートとは
エンディングノートとは、自分の人生が終わる時に備えて、医療や介護、財産や葬儀の希望などを整理しておくノートです。作成について法的拘束力はなく、あくまで個人の裁量で用意します。
このノートがあることで、家族や周囲の人々が本人の意向を読み取りやすくなります。もし高齢者本人が判断力を失ったとしても、ノートにまとめた内容をもとに大まかな対応方針を確認できます。身近で使いやすいため、多くのケースで負担を軽減できるでしょう。
エンディングノートに取り組んでいる自治体
東京都大田区では「おおた終活応援ブック」を配布し、高齢者が自分の情報をまとめられるようにしています。兵庫県尼崎市は地域包括支援センターと連携し、終活に関する個別相談会を開催しています。福岡県久留米市では市民向けの勉強会を定期的に開き、実践的なエンディングノートの書き方を学ぶ機会を提供しています。
エンディングノートをはじめ、自治体による終活支援についてはこちらで詳しくご紹介しています。
■自治体による終活支援とは?近年増えている理由と支援内容(前編)
■自治体による終活支援とは?近年増えている理由と支援内容(後編)
官民協働が鍵になる
行政と企業、そして住民が一体となって高齢社会の課題に立ち向かうことが欠かせません。医療・介護の体制強化や企業誘致など、やるべき施策は多岐にわたりますが、官民が連携することで大きな効果を期待できます。民間のノウハウと自治体のサポートがかみ合えば、新しいサービスや雇用が生まれ、地域の暮らしを維持しやすくなります。
サイネックスでは、自治体によるエンディングノートの作成支援を「わが街事典」サービスの一環でお手伝いをしています。「わが街事典」とは、官民共同で発行する地域情報誌です。地域全体の情報を発信する媒体も作れますし、「空き家対策情報誌」「子育て支援ガイド」「高齢者ガイド」「未来ノート/エンディングノート」といった「ジャンル別行政情報誌」としての媒体も作成可能です。
たとえば、鳥取県倉吉市、三朝町、湯梨浜町、琴浦町、北栄町と共同で電子版のエンディングノートの発行をしました。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
鳥取県中部地区(未来ノート)「わが街事典」電子書籍のご紹介
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