公園再整備で地域のにぎわいを創出するPark-PFIとは?導入のポイントや先進事例を解説
近年、都市公園は憩いの場としてだけでなく、地域活性化や観光振興、防災、交流拠点など、多様な役割が求められるようになっています。こうした中で注目されているのが、民間の資金やノウハウを活用して公園の魅力向上を推進する「Park-PFI(公募設置管理制度)」です。全国では、公園の課題や地域特性に応じたさまざまな取り組みが進められ、地域活性化や持続可能な管理運営につながっています。本記事では、Park-PFIの概要や導入の流れ、推進のポイント、全国の事例を紹介するとともに、事業効果を高めるための情報発信の重要性について解説します。
Park-PFIとは
Park-PFIとは、2017年の都市公園法改正によって創設された「公募設置管理制度」を指します。PFI(Private Finance Initiative:民間資金等活用事業)は、民間資金を活用した公共施設整備・運営手法のことで、公共サービスの提供に民間の資金・ノウハウ・経営能力を活用する取り組みの総称であるPPP(Public Private Partnership:官民連携)の1つです。
2024年には、国土交通省より民間の知恵や活力を活かしながら公園や緑地の保全・活用をしていくための都市緑地法等の一部を改正する法律が施行されました。
自治体が民間事業者を公募で選定し、カフェやレストラン、売店などの収益施設と、園路や広場などの公共施設を一体的に整備・管理する仕組みです。民間事業者は収益施設の利益を活用して公園の魅力向上に貢献し、自治体は財政負担を抑えながら公園の再整備や利便性向上を図れるといった効果が期待できます。近年では、公園を地域活性化や交流拠点として活用する手法として、多くの自治体で導入が進んでいます。
(参考)国土交通省 都市緑地法等の一部を改正する法律が施行されました
Park-PFIの特徴
Park-PFIの大きな特徴は、民間の資金やノウハウを活用しながら、公園の整備・運営を一体的に進められる点です。民間事業者は収益施設を設置・運営し、その収益の一部を園路や広場、休憩施設などの整備に充てることで、公園全体の価値向上に寄与します。その結果、自治体は維持管理費の軽減につながるほか、利用者にとっても飲食や休憩、イベントなどを楽しめる魅力的な空間が生まれます。行政だけでは実現が難しかった柔軟な発想やサービスを取り入れられることも、Park-PFIならではのメリットです。
Park-PFIの流れ
Park-PFIは、自治体が公園の課題や将来像を整理することから始まります。次に、民間事業者とのサウンディング調査を通じて市場性や事業性を確認し、公募条件を策定します。その後、公募を実施して事業者を選定し、設置等計画の認定や協定締結を経て、施設整備・運営へと移行します。事業開始後も、自治体と事業者が連携しながら運営状況を確認し、必要に応じて改善に取り組むことが重要です。
Park-PFI推進のポイント
Park-PFIは、民間のノウハウを活用して公園の魅力向上と地域活性化を目指せる制度ですが、事業を成功させるには制度を導入するだけでは十分ではありません。公園の将来像を踏まえた事業計画の策定や、民間事業者との適切な役割分担、地域との合意形成などを踏まえ、計画段階から事業を進めることが重要です。
(参考)国土交通省 PFI事業の推進(コンセッション事業含む)
Park-PFIを円滑に推進し、持続的な公園運営につなげるために自治体が押さえておきたい5つのポイントを解説します。
事業の目的と方向性を明確にした計画
Park-PFIを成功へ導くためには、まず自治体が公園の設置目的や将来像を明確にし、その方向性に沿った事業計画を策定することが重要です。単に収益施設を整備するのではなく、公園全体の魅力向上や地域課題の解決につながるビジョンを示すことで、民間事業者も事業性を判断しやすくなります。
加えて、公園の立地や周辺環境、利用者のニーズ、地域のまちづくり方針なども踏まえた計画が公開されていることが重要です。事前にサウンディング調査などを実施し、民間事業者から市場性や実現可能性などの意見を集めることで、実効性の高い事業計画を立てやすくなります。
官民連携を円滑にする体制と役割分担
Park-PFIでは、行政と民間事業者が長期的に協力することが前提となるため、両者の役割や責任を明確にすることが重要です。事業範囲やリスク分担をあらかじめ整理しておくことで、事業開始後のトラブルを防ぎ、安定した運営につながります。事前に責任分界点を具体的に示した契約書もしくは仕様書案を準備しておき、公募段階で明示することが大切です。
さらに、自治体内部でも公園担当部署だけでなく、財政、都市計画、観光など関係部署との連携体制を整えておくことが、円滑に計画を推進するために重要です。必要に応じてPPP・PFIに精通した専門家の知見を活用することで、事業条件の検討や採算性の確認を効率的に進めることができます。
地域住民への丁寧な周知と合意形成
Park-PFIを成功させるためには、地域住民に制度の目的や事業の意義をわかりやすく伝え、理解を得ることも重要です。公園は地域住民にとって身近な公共空間であるため、民間施設の整備によって「公園が商業施設化するのではないか」といった不安が生じることもあります。公園の魅力向上や地域課題の解決など、導入によって期待される効果を具体的に示すことが大切です。
また、説明会やパブリックコメント、ワークショップなどを通じて、計画段階から住民の意見を取り入れることも求められます。さらに、民間施設による収益が公園の維持管理やサービス向上にどのようにつながるのかを明確にすることで、民間事業者の参画と公園の公益性を両立する仕組みへの理解を促すことができます。
地域住民への周知には、自治体のホームページや広報紙だけでなく、地域に根差した情報メディアを活用することも有効です。行政情報誌やデジタルサイネージ、地域情報サイトなどを組み合わせ、Park-PFIの目的や計画の進捗、住民参加の機会などを継続的に発信することで、より幅広い住民への理解促進につなげることができます。
地域とともに育てる持続可能な公園運営
Park-PFIは施設を整備して終わりではなく、長期間にわたり公園の価値を高め続けることが目的です。そのためには、地域事業者や住民が継続的に関わる仕組みづくりが求められます。地元企業が参画しやすい公募条件を工夫したり、制度の周知を丁寧に行ったりすることで、多様な事業者の参加が期待できます。
一方で、計画段階から住民や地域団体の意見を取り入れることで、地域に親しまれる公園づくりにつながります。事業開始後もイベントや地域活動を通じて利用者との関係を深めるほか、社会情勢の変化に応じて官民で協議しながら柔軟に運営内容を見直す姿勢が、事業の継続性を高めるポイントとなります。
民間事業者が得る利益への配慮
公園の公益性を維持しながら、民間事業者が継続的に事業を行える条件を整えることも重要です。民間事業者の事業活動を過度に制限すると、参入意欲が低下し、結果として公園の魅力向上につながる投資が行われにくくなる可能性があります。
たとえば、収益施設の設置期間です。極端に短いと、投資回収を行う見通しを立てられないため、十分な投資が行われず、公園利用者が満足する施設にならないかもしれません。
「民間企業の投資を引き入れることで公園の魅力を高める」ことを目的とするならば、民間事業者が安心して長期的な目線の投資判断ができる事業条件を、整えることが必要になります。
Park-PFIの事例
Park-PFIは、全国各地の自治体で導入が進んでおり、公園の再整備や地域活性化にさまざまな成果を生み出しています。一方で、公園の立地や地域課題、目指す将来像は自治体ごとに異なるため、導入方法や事業内容もさまざまです。先進事例を参考にすることで、自分の地域に適した事業の進め方や民間事業者との連携方法、地域の魅力を生かした公園づくりのヒントが得られるかもしれません。続いて、全国の特徴的なPark-PFI事例を紹介します。
(参考)公園とみどり:Park-PFI等の活用 – 国土交通省
福島県須賀川市「翠ヶ丘公園」
翠ヶ丘公園では、公園の魅力向上と持続的な管理運営を実現するため、官民連携による再整備が課題となっていました。そこで市は、事業化に先立ち公園全体のゾーニング計画を策定し、エリアごとに適した管理・運営方法を整理するとともに、官民連携を導入する区域を検討しました。さらに、管理運営や利活用の可能性を把握するため、社会実験を実施し、利用者ニーズや事業性を検証した上でPark-PFIを導入しています。
事業では温浴施設などの公募対象公園施設を整備し、公園の新たな魅力を創出しました。十分な事前準備と段階的な検証を重ねたことで、民間事業者が参画しやすい環境を整えながら事業化につなげた点が、この事例の大きな特徴です。
(参考)翠ヶ丘公園/須賀川市公式ホームページ
北海道恵庭市「恵庭ふるさと公園」
取り組み開始から約30年が経過した恵庭ふるさと公園では、施設の老朽化に加え、市民ニーズの変化や地域交流、防災機能の向上が課題となっていました。市は公園再整備にあたり、市民参加型ワークショップや樹木調査を実施し、利用状況や地域の意見を基本計画へ反映しました。加えて、民間事業者とのサウンディングを3回実施し、採算性を踏まえてPark-PFIの事業範囲を決定しています。
整備後は、無料のコミュニティスペースを備えたカフェが整備され、公園利用者だけでなく近隣大学の学生や市外からの来訪者も増加しました。地域イベントと連携した講習会や共同メニューの開発も行われ、公園が世代を超えた交流とにぎわいの拠点として機能している点が特徴です。
(参考)恵庭ふるさと公園/恵庭市ホームページ
青森県むつ市「代官山公園」
代官山公園では、新型コロナウイルス感染症の影響で事業環境が大きく変化したことから、設置予定者の選定後に社会実験イベントを実施し、予定していた事業内容やにぎわい創出の効果を検証しました。その結果を踏まえて事業内容を精査し、グランピング施設やトレーラーハウス、飲食店、物販施設、ドッグランなどを整備し、その運営にはすべて地元企業が参画しています。
取り組み開始後は、年間約300人だった利用者が令和4年には約1万6,000人まで増加し、県外からも利用者が訪れるようになりました。さらに、公園利用者が周辺飲食店へ回遊するなど地域への波及効果も生まれ、公園全体の維持管理業務を民間事業者が担うことで市の財政負担軽減にもつながっています。
(参考)代官山公園|くらし・手続き|むつ市
石川県加賀市「山代スマートパーク」
加賀市では、廃業旅館跡地の活用が地域課題となっていました。そこでPark-PFIを導入し、「スマートシティ・パーク」をコンセプトに再整備を実施しました。体験学習施設や高速Wi-Fiを整備し、公園全体をテクノロジーに触れられる空間とするとともに、コワーキングスペースもある公園として整備しました。
事業化にあたっては、PPP/PFIの勉強会で理解を深めることや、実績がある自治体へのヒアリングを実施して検討を進めました。
地元団体との対話やARを活用した現地説明会を通じた地元との連携にも取り組んでいます。整備後は地域住民が日常的に集い、小学生が遊びや学習に利用するなど親しまれる公園となり、高速Wi-Fiの整備も利用促進につながりました。地域課題の解決と先進技術の活用を両立した点が大きな特徴です。
(参考)山代スマートパーク/加賀市
岩手県二戸市「金田一近隣公園」
金田一温泉郷では、旅館数の減少による地域活力の低下に加え、市営プールや温泉センターの老朽化、維持管理費の負担が課題となっていました。そこで、市はPark-PFIの活用とあわせて、市や地元金融機関、地元企業が出資する第三セクターを設立し、さらにSPC(特定目的会社)を設けて事業経営と資産保有を分離する「PPPエージェント方式」を採用しました。
取り組み開始後は、従来必要だった年間約1,000万円の指定管理費が不要となり、公園管理方法の見直しによって年間約160万円の管理費削減も実現しました。地域企業や金融機関が主体となって運営に関わる体制を構築した点が特徴です。また、人口約2.3万人の規模で事業性を確保した点でも注目すべき事例です。
(参考)岩手県二戸市金田一温泉 岩手県二戸市
Park-PFIを導入して地域活性化を目指しましょう
Park-PFIは、民間活力を生かして公園の魅力向上や地域のにぎわい創出を実現できる制度ですが、その効果を最大限に引き出すためには、施設整備や運営だけでなく、継続的な情報発信も重要な要素です。イベントや新たな施設、公園の魅力を積極的に発信することで、地域住民の利用促進だけでなく地域ブランドの向上にもつながります。
サイネックスでは、官民一体となって地域の情報を発信するためのさまざまなメディア・サービスを提供しています。地域の情報発信についてのお悩みは、お気軽にご相談ください。
サイネックスの情報メディア事業
お問い合わせはこちらから



