2026年サッカーW杯が開幕 パブリックビューイングでつなぐまちづくり戦略
2026年6月、北中米を舞台に史上最大規模のサッカーW杯がいよいよ開幕。参加国や試合数が大幅に増える今回の大会は、単なるスポーツの祭典にとどまりません。多くの自治体が直面している「人々のつながりの希薄化」や「街の活気の低下」を解決する、またとない機会です。
本記事では、長く住民に愛されるまちづくりに向けて、パブリックビューイングを活用する方法を解説します。情報通信技術(ICT)を駆使した新しい観戦スタイルや、スポーツ・文化を融合させた先進的な事例をヒントに、サッカーW杯を起点とした「新しいまちづくり」の可能性を探ります。
なぜパブリックビューイングによる感動の共有が地域を創るのか
今、パブリックビューイングのあり方が大きく変化しています。これまでの「広場に集まって大型画面を見るだけ」という一過性のイベントから、デジタル技術を活用し「どこにいても、みんなで感動を分かち合う場」へと進化しつつあります。
スポーツには、言葉や世代の壁を超えて人々の心を一つにし、「この街に住んでいてよかった」という誇り(シビックプライド)を育む力があります。とくに、地元にゆかりのある選手の挑戦を地域みんなで見守り応援する体験は、住民同士の絆を深めるだけでなく、多世代が自然に交流するきっかけも生み出します。
さらに、情報通信技術(ICT)を活用して中心市街地と周辺の公民館、福祉施設などをネットワークでつなげば、街全体を一瞬にして1つの「スタジアム」に変えることも可能です。W杯をきっかけに、地元のプロスポーツや伝統文化、地元企業と連携したパブリックビューイングを展開することは、単なる娯楽にとどまらず、地域の未来に向けた価値ある投資となります。
国が掲げる方針との整合性
自治体が事業を推進する上で不可欠なのが、国の方針との整合性です。パブリックビューイングは、政府が掲げる次の方針と整合しているといえます。
まず、スポーツ庁の「第3期スポーツ基本計画」では、スポーツを核とした地域活力の創出(スポーツによる地方創生)が重点施策とされています。これに基づき、パブリックビューイングを地域経済の活性化や、誰もが共に生きる共生社会を実現するための有力な手段として取り入れている自治体も増えています。
次に、内閣府の「まち・ひと・しごと創生基本方針」が掲げる「関係人口の創出」や「交流人口の拡大」という目標を、デジタル技術を活用した地域の魅力発信によって実現しています。あわせて、スポーツ庁の「優良自治体表彰制度」が評価する公共施設や広場の有効活用を推進し、自治体独自のブランド向上を目指しています。
このように、パブリックビューイングは複数の国策と連動した、極めて高い実現可能性と公共性が期待できる施策です。2026年サッカーW杯という世界的な祭典を機に、スポーツがもつ「人を引きつける力」を最大限に活用し、活気ある地域社会を創るための重要な投資として期待されています。
第3期スポーツ基本計画:スポーツ庁
まち・ひと・しごと創生 – 地方創生
オンラインの活用による多様化するパブリックビューイング
最新のデジタル技術を活用したパブリックビューイングは、特定の会場に集まる形式から、街全体を1つのスタジアムのようにつなぐ新しい形へと進化しています。2026年度の総務省方針でも、AIや次世代通信インフラによる地域課題の解決が掲げられており、この取り組みはその象徴的なモデルとなります。
具体的には、高画質な映像伝送とオンラインを組み合わせることで、メイン会場と各地の公民館、福祉施設、飲食店などをリアルタイムで結ぶ「広域分散型」の開催が可能です。これにより、移動が難しい高齢者や子育て中の方も、自宅近くの身近な場所から「地域の一員」としてイベントに参加し、一体感を味わうことができます。
さらに、メタバースや双方向通信といった「没入型技術」の導入により、離れた場所にいる人同士がリアクションを共有できる、新しい観戦スタイルが期待されています。こうしたデジタルの力を活用した交流は、街の隅々にまでイベントの熱気を届け、単なる一回限りの興行を、未来へ続く「持続可能な地域コミュニティの活性化」へと変える重要な要素となります。
総務省|デジタル変革を通じた持続可能な地域社会と強い経済基盤の実現(総務省重点施策2026)
多角的なにぎわい創出の実績
W杯に先駆けて各地で行われたパブリックビューイング事例を見ると、パブリックビューイングがもはや特定のスポーツだけのものではないことが分かります。パブリックビューイングを企画する際、単に試合を流すだけでなく、「地元のプロチームの選手をゲストに招く」「地元出身選手の軌跡を上映する」といった地域固有のストーリーを加えることで多角的なにぎわいを創出できることを示唆しています。
プロスポーツの地域浸透――地元愛が創りだす熱狂
B.LEAGUE(ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ)やSV.LEAGUE(日本バレーボールのトップリーグ)などのプロ/セミプロスポーツは、地元チームへの強い愛着がパブリックビューイングの強力な原動力になることを証明しています。特定の「地元のヒーロー」を応援する体験は、住民同士の連帯感を高め、地域コミュニティを再構築する鍵となります。
野球やサッカーのように熱烈なファンベースをもつ競技はもちろん、多様なスポーツにおいて「わが街のチーム」を囲む文化が浸透しています。こうした熱量をパブリックビューイングと連動させることで、一過性のイベントに終わらせず、日常的な地域への愛着(シビックプライド)へと昇華させることが可能です。スポーツを軸にしたにぎわいは、持続可能なまちづくりに欠かせない要素となっています。
B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト
公益社団法人SVリーグ/一般社団法人ジャパンバレーボールリーグ JVL オフィシャルサイト
伝統文化と観光の融合――歴史を紡ぐ地域振興
こうした熱量はスポーツに限らず将棋の「名人戦」などでも、歴史ある宿や文化施設を対局場とすることで、伝統文化の振興と地域観光の活性化を見事に両立させています。石川県、大阪府、福岡県などの事例では、対局に合わせて実施されるパブリックビューイングが、ファンに特別な観戦体験を提供すると同時に、地域の歴史的価値を再発見する機会となっています。
こうした伝統文化の熱量を地域のイベントと連動させることで、観光客の誘致だけでなく、地域住民の誇り(シビックプライド)も醸成されます。地域の歴史的建造物を活用した応援イベントを展開すれば、文化とエンターテインメントが調和した、その土地ならではの魅力的なまちづくりが実現可能です。
第84期名人戦七番勝負第4局の開催と関連イベント参加者の募集について – 高槻市ホームページ
エンターテインメントの共有――多機能型イベントが広げる地域の輪
エンターテインメントを共有することで地域を盛り上げている自治体があります。稲城市での野球・サッカーの同時展開や、松山市での「愛媛囲碁フェス」は、複数のジャンルを組み合わせることで、多様な層を引きつける「多機能型イベント」としての可能性を証明しています。特定の競技ファンだけでなく、幅広い関心をもつ市民を巻き込むことで、イベントの波及効果はさらに高まります。
将棋や囲碁などの伝統文化から最新のeスポーツまで、複数のコンテンツを融合させたパブリックビューイングは、地域住民のさまざまなニーズに応える「交流のプラットフォーム」となります。2026年サッカーW杯においても、単なる試合観戦にとどまらず、地域のエンターテインメント要素を掛け合わせることで、多世代が自然に集まり、街全体で熱狂を分かち合う持続可能なにぎわいを創出できます。
GIANTS×VERDY タッグフェスタ2026|稲城市公式ウェブサイト
地元出身選手の応援と「シビックプライド」の連鎖
オリンピックの各種競技や高校野球など、スポーツは裾野が広く、真剣勝負によるドラマチックな展開からヒーローが生まれやすい分野です。その中には自治体や近隣地域にゆかりのある選手がいることも多いでしょう。こうした「地元のヒーロー」を地域一丸となって応援する体験は、子どもたちに大きな夢を与えるとともに、住民一人ひとりの心に「この街が好きだ」という誇り(シビックプライド)を強く育みます。
そうして育まれた誇りを、地元のB.LEAGUE(バスケットボール)やSV.LEAGUE(バレーボール)などの応援へとつなげていくことが重要です。そうすることで、イベントを一過性のものに終わらせず、地域全体でスポーツを支え、楽しむ持続的な文化が根付いていきます。
スポーツをきっかけとした応援の連鎖は、世代を超えた住民の絆を深め、10年後の活気ある地域社会を創るための確かな投資となります。
「ふるさと応援団」が創る世代を超えて夢を共有するまちづくり:奥州市、大谷翔平選手ふるさと応援団
岩手県奥州市では、2026年WBCに合わせ、地元出身の大谷翔平選手を応援する「ホームタウンヒーロー・パブリックビューイング」を開催しました。市独自の「大谷翔平選手ふるさと応援団」が中心となり、市民が一体となって地元のスターに声援を送るこの取り組みは、地域への愛着(シビックプライド)を育む象徴的な事例です。
「2026 ワールドベースボールクラシック」 ホームタウンヒーロー・パブリックビューイングを開催します!|奥州市公式ホームページ
地元出身選手の快挙を地域の活力に:盛岡市による冬季五輪パブリックビューイング
盛岡市では、2026年ミラノ・コルティナ冬季五輪のスピードスケート日本代表に、地元・盛岡工業高校出身の吉田雪乃選手が選出されたことを受け、市民一丸となって応援するパブリックビューイングを開催しました。この取り組みは、単なる試合観戦の場にとどまらず、地元のスターを応援することで「シビックプライド」を醸成する重要な機会となります。
令和7年度プレスリリース|盛岡市公式ホームページ
1月29日 ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックパブリックビューイングの開催について
地元のスターを囲む一体感:群馬県板倉町による垣田裕暉選手応援パブリックビューイング
群馬県板倉町では、地元出身のプロサッカー選手である垣田裕暉選手を応援するため、町を挙げたパブリックビューイングを開催しました。この取り組みは、町民が一体となって「地元のヒーロー」に声援を送ることで、地域への愛着や誇り(シビックプライド)を育む貴重な機会となっています。
「わが街ゆかりの選手」が活躍する姿を共有する体験は、住民同士の連帯感を強めると同時に、子どもたちに夢や目標を与える教育的な側面もあります。このような応援の熱量を、一過性のイベントで終わらせるのではなく、地域の活性化やスポーツ文化の醸成へとつなげていくことで、持続可能なまちづくりの一環として大きな役割を果たしています。
垣田裕暉選手応援パブリックビューイング – 板倉町
パブリックビューイングで地域の一体感を育もう
パブリックビューイング事業は、単なるスポーツ観戦イベントではありません。これは、自治体の戦略的な投資といえるでしょう。
最新のデジタル技術を活用してオンラインとリアルの会場を融合させれば、高齢者や子育て中の方など、これまで参加が難しかった方々も含めた「街全体での感動共有」が可能になります。
また、スポーツだけにとどまらず、地元のプロチームや将棋・囲碁といった伝統文化、エンターテインメントと組み合わせることで、多世代が自然に集まる交流の場へと進化します。奥州市や盛岡市、板倉町の事例が示すように、地元のヒーローを応援する体験は、住民が自分の街を好きになる「シビックプライド」を育むツールとなります。
今、パブリックビューイングを核としたにぎわい創出に取り組むことは、一過性のブームに終わらない、市民がつながり誇りをもてる持続可能な地域社会を実現するための重要な一歩となるでしょう。
サイネックスの「わが街事典」では、多くの自治体で取り組まれているスポーツ応援事例が掲載されています。各自治体の先進事例は電子書籍でも確認することができますので、気になる方はぜひご覧ください。
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また、サイネックスの「わが街ポータル」をご利用いただいている自治体の場合は、パブリックビューイングなどの開催告知も無料で行えます。
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