サイネックス・マガジン

コアな信州ファンをつくりたい!”現地かここでしか出会えない長野”を発信し続ける銀座NAGANO

銀座NAGANO外観

銀座NAGANO外観

Interview
長野県信州首都圏総合活動拠点「銀座NAGANO」
  所長 保科 宗継様
  所長代理 鈴木 豊様
  ショップマネージャー 島田 更咲様

※取材:2026年7月

東京・銀座にある「銀座NAGANO」は、2014年10月、都内に点在していた様々な機能をまとめる形で誕生しました。
単なるアンテナショップではなく、県産品の消費拡大や観光案内、移住・就職相談まで幅広い機能を集約し、県のブランド価値を高める「信州ブランド戦略」を体現する場所として、コアな信州ファンを生み出すことを目標としています。

本記事では、所長の保科様、所長代理の鈴木様、ショップマネージャーの島田様へのインタビューを通して、銀座NAGANOが歩んできた道のりや、長野県ならではの魅力、コアな信州ファンを増やす取り組みなどについて伺いました。



分散していた発信拠点を集約して生まれた「銀座NAGANO」

――本日はよろしくお願いいたします。はじめに、銀座NAGANOを銀座に開設された経緯についてお聞かせいただけますか?

銀座NAGANOが誕生する前、長野県の首都圏における発信・活動の機能は3か所に分散していました。
観光案内や移住・就職相談を担うJR有楽町駅そばの東京交通会館と東銀座のコンビニエンスストア内では県産品の販売、そして平河町にある長野県東京事務所には、県産品のBtoB(企業間)取引や農産物の販路拡大の機能がありました。
このように様々な機能が分散していると、どうしても効率が悪くなってしまいます。そこで、一か所に機能を集約しようという機運が高まっていったのです。

ちょうどそのころ、県のブランド価値を高めるための「信州ブランド戦略」が掲げられており、それを体現できる場所が必要とされていたことも、銀座NAGANO誕生の大きな理由になりました。(保科さん)

インタビューにお答えいただいた島田さん、保科さん、鈴木さん

(左から)インタビューにお答えいただいた
島田さん、保科さん、鈴木さん

長野の情報を効率的に発信するため、全機能を集約

こうして誕生した銀座NAGANOには、小売(BtoC)やBtoBの機能はもちろん、観光案内や移住相談まで、あらゆる機能が集約されました。

2014年10月のオープンから、まもなく13年目を迎えます。
オープンの前年には「三重テラス」さん、翌年には「ここ滋賀」さんや「日本橋とやま館」さんが相次いでオープンするなど、当時はまさに各県のアンテナショップ開設ラッシュのまっただ中でしたね。(保科さん)


従来のアンテナショップの概念に捉われない拠点づくり

――なるほど。各県のアンテナショップは銀座のほかにも日本橋界隈に多い印象ですが、出店場所として銀座を選ばれた理由を教えてください。

おっしゃるとおり、出店場所の候補としては、他県のアンテナショップが集まる日本橋や銀座、ほかにも新橋や青山などが挙がっていましたね。
しかし検討会議での議論の末、最終的に選ばれたのは銀座でした。

銀座NAGANO 所長の保科さん

銀座NAGANO 所長の保科さん

「商業や人の流れの中心地であること」、「ハイブランドの店が集まっていること」、「認知度が非常に高いこと」が決め手となったのです。
とはいえ、銀座NAGANOが面するすずらん通りは、当時は“裏通り”と呼ばれるような場所で、人通りも決して多くはなく、「果たしてここで大丈夫だろうか」という不安もありました。
それでも、のぼりの設置や音楽を流すこと、呼び込みが禁止されているといった銀座ならではのルールを守りながら、従来のアンテナショップとは一線を画するアイデアを数多く盛り込みました。
単なるアンテナショップにはしたくない、銀座の街に溶け込みながら信州の本物に出会える拠点にしたい、という思いがあったんです。

今ではすずらん通りの様子も変わり、人通りが多くなりました。
3年前には隣に新潟県のアンテナショップもオープンし、すずらん通りの活性化に少しはお手伝いができたのではないかと感じています。(保科さん)




銀座NAGANOのミッションは「コアな信州ファン」をつくること

――銀座NAGANOが目指しているものはなんでしょう?

私たちの最大の目標は「コアな信州ファンをつくる」ことです。
単に「好き」というレベルではなく、その方にとって「なくてはならない、切っても切り離せない」と感じてもらえるレベルのファンを獲得したいのです。

最終的に長野県への移住を実現してもらえたら嬉しいですが、たとえ移住に至らなくても、「生活の一部に長野県のものが溶け込んでいる」ような関係性を、一人でも多くのお客様と築いていきたいと考えています。(保科さん)


お客様から、あらためて長野を学ぶ

――実際に店頭に立たれていて、発見のようなものはありますか?

県内では当たり前すぎて、県民自身がその価値に気づいていない商品やイベント、観光資源に対して、首都圏のお客様が「いいですね」と反応してくれることは少なくありません。
私たちが気づかないブランド価値を、お客様が教えてくれるのです。

人口減少や後継者不足で存続が危ぶまれる産業が多い中、首都圏からの評価は、生産者にとって大きな活力になります。
中には「お手伝いしましょう」や「自分がやりましょう」と、支援を申し出てくれる方まで現れています。
長野県のブランド価値とその大切さを教えてくれる場として、県民である私たちにとっても、この場所の価値は非常に高いと感じています。(鈴木さん)

銀座NAGANO 所長代理の鈴木さん

銀座NAGANO 所長代理の鈴木さん

多様性という長野県の強み

――長野県ならではの「強み」とはなんでしょう?

ありがたいことに長野県は、移住したい都道府県ランキングで常に上位に入る人気の高い県です。
県歌「信濃の国」の一節に「海こそなけれ」とあるとおり 、海以外のものならなんでも揃っているといわれています。
山も高原も温泉も、多様な地域・側面があり、首都圏の誰にとっても「いいな」と思える場所がどこかしらにある。

この多様性こそが長野県最大の強みだと思います。(鈴木さん)

県歌「信濃の国」 歌詞 一番

信濃の国は十州に 境連ぬる国にして
聲ゆる山はいや高く 流るる川はいや遠し
松本伊那佐久善光寺 四つの平は肥沃の地
海こそなけれ物さわに 万ず足らわぬ事ぞなき

(歌詞の意味)
信濃の国は十の国と接しています。
そびえる山はとても高く、流れる川はとても遠くまで流れていきます。
松本、伊那、佐久、善光寺の四つの盆地はよく肥えた土地で、 海はないけれども物産が豊かにあって、不足するものはなにもありません。

一致団結と地元愛の強い県民性

――そんな長野の県民性についても教えてください。

長野県は、北信・東信・中信・南信という4つの地域に分けられます。
地域ごとに気質は少しずつ異なるものの、真面目で勤勉という県民性は共通しています。
県歌がかかると、みんながひとつになるんです(笑)宴会の最後は必ず県歌で締める、という一致団結の県民性は、地域に関係なく強いですね。

店頭でのお客様との会話も、「どこのご出身ですか?」から始まることが多いんです。
「自分はどこどこの出身だけど、そこの商品はないの?」という会話が続くこともしばしば。地域への意識や地元愛の強さを、日々実感しています。(島田さん)

銀座NAGANO ショップマネージャーの島田さん

銀座NAGANO ショップマネージャーの島田さん

――食文化にも地域性はあるのでしょうか?

あります。県民性の根っこは大きく変わらなくても、食べているものはずいぶん違うんです。

長野県の名物として知られる「おやき」も、実は地域によって馴染みの度合いが異なり、私自身、食べたのは大人になってからでした(笑)。
たとえば木曽・王滝村などで受け継がれている「すんき漬け」は、赤カブの茎や葉を、塩を一切使わずに乳酸菌発酵させた漬物です。冬季限定で銀座NAGANOでも取り扱っています。
長野県といえば野沢菜漬けが有名ですが、すんき漬けは木曽地域に古くから伝わる、まさにその土地で育まれた味。

地域によって、食べ物も言葉も少しずつ異なっているのが長野県の面白いところですね。(保科さん)




多様な食文化が凝縮された1Fショップ

――店頭に並んでいる人気商品についても教えてください。

とくに人気なのは「おやき」ですが、それ以外にも魅力的なお菓子がたくさん並んでいます。
定番のお土産菓子として知られる田中屋の「雷鳥の里」をはじめ、ヌーベル梅林堂の「くるみやまびこハーフ」は単体の売り上げでトップを誇る人気商品です。二葉堂の「りんご小径」も根強い人気があります。
お酒のおつまみには、えびす屋の「わかさぎ空揚」がおすすめですね。このほかにも、八幡屋礒五郎の七味唐辛子や牛乳パン、野沢菜漬け、信州そばなど、挙げていくとキリがないほど人気商品があります。

それでも私が一番におすすめしたいのは、旬を迎えたフルーツなんです。
商品を選ぶ基準は「スーパーにはないもの」。県内の中小の事業者さんを盛り上げたいという思いが、商品選定の根底にあります。(島田さん)

人気商品 ヌーベル梅林堂のくるみやまびこ

人気商品 ヌーベル梅林堂のくるみやまびこ

銀座NAGANOの看板フルーツ「ワッサー」

――おすすめのフルーツの中でも、とくにこれは!というものはありますか?

はい。長野県は、実はフルーツ王国なんです!都内では珍しい生のあんずが並ぶのは夏の時期。その後は、ここでしか手に入らない多彩なぶどうや、赤肉りんごといった旬の生鮮フルーツが店頭を彩ります。

中でもとくにおすすめしたいのが「ワッサー」です。

銀座NAGANOの超おすすめフルーツ ワッサー

銀座NAGANOの超おすすめフルーツ ワッサー

桃とネクタリンを掛け合わせた果物で、桃のような香りを持ちながら、食感はサクサクと硬め。名前の由来は、生産者の愛称「ワッサン」からきています。

長野では昔から硬めの桃やりんごを好んで食べる文化があり、ワッサーはまさに県民にとってこの上ない果物なんです。
オープン以来、銀座NAGANOから発信し続けてきた商品で、どこのスーパーにも売っていない、いわば「銀座NAGANOのプライベートブランド(PB)商品」と言ってもいいほどの存在です。
2〜3年目あたりからお客様の間に浸透し、「ここでしか買えない」「ワッサーはいつ出るんですか?」という声が広がって、今では1日で完売してしまうほどの人気商品に成長しました。
皮をむかず、洗ってそのまま食べるのが長野流。皮がおいしいですし、栄養価も高くて手間もかかりません。

感動したお客様が、数日後にわざわざ「食べました、やっぱりおいしかったです」と報告に来てくれることも多いんですよ。(島田さん)



PRキャラクターの「アルクマ」も大人気

――長野県のPRキャラクター「アルクマ」も人気があるとお聞きしました。

そうなんです。りんごの被り物をかぶったクマのキャラクターで、さまざまな被り物とのコラボレーションが登場します。
関連グッズは店でも大変な人気商品です。
長野県出身のメンバーがいるバンドが取り上げたことをきっかけに、人気にさらに火がつきました。
毎年の周年祭では必ず「アルクマグリーティング」を開催しており、熱烈なファンがスタンバイして、まさに「出待ち」状態になることもあるんですよ。(島田さん)

銀座NAGANO 1Fショップ

長野の県産品や工芸品、
キャラクターグッズが並ぶ1Fショップ

店舗2Fにはテイスティング&イベントスペースを設置

――お店の2Fにあるテイスティングスペースについても教えてください。

2階には、気軽に長野のお酒を楽しめるテイスティングスペースがあります。
一昨年のリニューアルを機にコインサーバーを導入し、ワインや日本酒を手軽に味わっていただけるようになりました。

長野のお酒を楽しめるテイスティングスペース

長野のお酒を楽しめるテイスティングスペース

日本酒の試飲ができるアンテナショップは多くありますが、ワインを気軽に楽しめるお店は、実はあまり多くありません。
日本酒とワインの両方を楽しめるのが、銀座NAGANOならではの魅力だと思います。

生産者や蔵元を招いて、テイスティングスペースを使ってもらう「テイスティングスペースジャック」というミニイベントも開催しています。蔵元が直接お客様と言葉を交わす機会になっており、事前に告知すると、お酒好きの方がたくさん集まってくれるんですよ(人気の企画は事前予約制・申込者限定で実施しています)。(鈴木さん)

――同じ2Fのフロアにはキッチンの付いたイベントスペースもありますね。

長野県の多様性を伝えるのに一番わかりやすいのは、「食文化」だと考えています。
それをPRするための場所として、オープンキッチン付きのイベントスペースを用意しました。イベントの主催者がキッチンを使い、自分たちの地域の食を紹介するというのが基本的なスタイルです。

県内77市町村がイベントを主催することもあれば、「長野県に本社等が所在」という一定の基準を満たせば、企業が借りることもできます。

オープンキッチン付きのイベントスペース

オープンキッチン付きのイベントスペース

たとえば地域の食材を使った料理婚活イベントも、県内の市町村がそれぞれ企画して、この2階のスペースで開催されています。
「ぜひ長野に来ていただきたい」という思いが込められた企画ばかりなんです。

とくに人気が高いのは「おこびれ講座」ですね。
「おこびれ」とは、長野の古い言葉で、畑仕事の休憩時間に食べる、おやつやちょっとした食べ物のことを指します。
昔は、家からおやきや漬物、お茶を畑に持って行き、あぜ道で「おこびれ取るよ」と声をかけて休憩していました。
この言葉にちなんで、おやきをはじめとした粉もの文化を紹介する講座を「おこびれ講座」と名付けたところ、大変な人気を集めています。

ほかにも数多くのイベントを開催していますので、気になる方はぜひイベントカレンダーをチェックしてみてください。(鈴木さん)




店舗5階にある移住・就職相談と観光案内コーナー

――5Fには移住・就職相談と観光案内コーナーがありますね。

こちらは移住や就職に関する相談窓口となっています。

近年は移住者・相談者ともに、増えているんです。
人気のエリアは佐久や上田。東京から近く晴天率が高いエリアで、長野市内よりも晴れの日が多く、雪も少ないのが魅力となっているようです。安曇野も人気で、きれいな水と美しい山々に恵まれ、上高地にも近く、松本へのアクセスも良好です。
移住セミナーも定期的に開催しており、先輩移住者の実体験や、移住を決意したときの心境といった「現場のリアル」を伝えることを大切にしています。

就職に関しては紹介できる職種も多様で、一般企業の情報も揃っています。
就農を希望する方は、「酪農をやりたい」、「イチゴを作りたい」「ワイナリーを開きたい」など、目的がはっきりしている方が多いのが特徴です。
当てもなく現地に行くよりも、まずは館内のハローワークや移住相談コーナーでしっかり話を聞いてから選ぶ方が、現実的だと思います。ぜひ利用していただきたいですね。(保科さん)

――観光案内には、どのようなご相談が多いですか?

一番人気の観光地は上高地です。
マイカーの乗り入れができず行き方がわかりにくいこともあり、東京からの直通バスを含め、あらゆるルートから最適な行き方を細かく案内しています。
基本的には、「あそこへ行きたい」「ここに泊まりたい」というお客様の希望を聞きながら、モデルコースを一緒に組み立てていくスタイルです。

スタッフは現地研修で自分の足を使って見て回り、「思っていたのと違った」という発見を持ち帰ることもあります。
インターネットには載っていない、土砂崩れによる通行止めやバスの運休といった情報も伝えられるのが強みです。

花の開花状況も逐一案内しており、まさに「長野の今」を発信し続けています。
登山者向けのセミナーにも力を入れており、これまでに2回開催しました。長野県では山を技術力と体力に応じてグレーディングしており、その方のレベルに合った山選びを提案しています。
観光パンフレットやマップ類も含め、長野県の情報がおそらく日本で一番揃っているのが、この観光案内コーナーだと思います。(鈴木さん)


銀座で味わう上高地。ここで長野を体験して!

――夏に大人気の「クーリングスポット」というイベントがあると聞きました。

そうなんです!
猛暑日限定の名物企画として、銀座NAGANOの5Fでは上高地の涼しい映像と音楽を流しながら、室温を上高地と同じ温度に設定する「クーリングスポット」を開催しています。
気温が30度を超えるような日に、長野県の旅行気分を味わっていただく工夫として実施しています。

この企画がスタートしたのは昨年から。
ただイベントをやるのではなく、「ここに来てほしい」という思いを込めてやっているんですよ。(鈴木さん)



知ってもらう、というフェーズは完了。今後はコアな信州ファンを増やしていくことが目標

――最後に銀座NAGANOの今後の展望について教えてください。

開業当時はまだSNSが普及しておらず、とにかく賑やかしのイベントを数多く開催していました。
まるで毎日がお祭りのような雰囲気でしたね。
現在はリピーターも増えたことから、新しいお客様にはInstagramやX(旧Twitter)といったSNSを通じて情報を届け、共有・拡散してもらう方向へと周知の仕方をシフトさせています。

アンテナショップ業界の面白いところは、どこも同じものを売っているわけではないので、お互いにライバル心が一切ないことなんです。他県のアンテナショップとの協業にも、今後は積極的に取り組んでいきたいと考えています。
これからも、食や移住、観光の情報を通じて長野のリアルを銀座から発信し続け、コアな信州ファンを一人でも多く増やしていきたいですね。(保科さん)




まとめ

「コアな信州ファンをつくる」という明確な目標のもと、長野の今を発信し続ける銀座NAGANO。
看板フルーツのワッサーやアルクマグッズといった名物に加え、各種イベントや移住・観光相談まで、長野県の多様な魅力を一度に体験できます。
ここは、東京メトロ銀座駅(A1・A2・B5出口)から徒歩1分の「長野」です。

取材にご協力いただき、ありがとうございました!

Information on 銀座NAGANO

■営業時間:
  【1・2F】10:30〜19:00
  【5F】10:00~18:00

■所在地
  〒104-0061
  東京都中央区銀座5丁目6-5 NOCOビル 1・2・5F

■TEL
  03-6274-6015(代表)

■アクセス
  東京メトロ銀座駅 A1・A2・B5出口から徒歩1分
  JR有楽町駅から徒歩7分

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